第12話 確信に変わるとき
スマホのアラームの音で葵は目が覚めた。車内に響き渡るその音を慌てて止めた。しばらくすると新幹線は東京駅のホームに着いた。葵は腕時計を見ると12時ジャストを指していた。
葵は体を前のめりにして、辺りを見渡した。
「新幹線の中……」
通路を挟んだシートに座る恰幅のいいおじさんが葵を不思議そうにジロジロ見ていた。
何かがおかしい。頭がモヤモヤする。葵は目を瞑った。現状が理解できない。
また新幹線の中? 夢?
葵はそう思いながらもホームへ降りると真っすぐ2番線に向かって歩いた。別に2番線のホームへ向かわなくてもよかった。今度は行先はどこでもよかった。
葵は無意識に行き慣れた2番線のホームに歩いていた。エスカレーターを足早に駆け上がる。葵はホームに着いた。
しばらくすると、中央線の東京終着の電車が勢いよく入ってきた。
これ、夢じゃないよね?
葵は電車に飛び込んだ。背後から悲鳴が聞こえる。葵の身体が電車と接触した。全身に激しい痛みが走ると同時に痛みが消えていった。それは幸福にも似た快感に変わった。まどろみかけた瞳。視界が暗くなっていくのがわかる。ゆっくりと意識が消えていく。
私は、以前にも同じようなことが……これは夢なんかじゃない。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます