時の輪廻

taka

プロローグ

 7年前に東北を襲った大地震。数10メートルの津波が私の街を襲った。被害は津波だけではなかった。各県のコンビナートや家屋が炎で包まれていた。さらに、原子力発電所が爆発した。私はそれらを後でテレビで知った。


 今、私はビルの屋上にいる。ここからの眺めは、あの時のテレビの映像とは違うけど。近くでは、見るも無残に瓦礫になった街が、遠くには赤く輝く空が見える。


 テレビもスマホもないから、何も確認できないけど、これがあの時より酷いってことは何となくわかる。人もおかしくなってるし。


 今日は皮肉なことに、月が大きく輝いている。スーパームーンらしい。この地獄のような街には少し似合わないかな。


 私は、あの時のように、私を助けてくれた7年前と同じように。当時は名前さえもわからなかったけど。


 君もどこかで同じ月を見ているのかな。




 私は、君がまた助けに来てくれることを信じている。




 早く君に会いたい。




 私は……ここに……いる……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る