Still of the night

 時刻は、夜中の2時半。

「ハイパーサービス残業やな、急成長中の新興企業でもこんな労務管理してないぞ」

「過労死ですわ」

「同感、これが犯罪捜査というものだよ、ワトソンくん」  

 長峰家の防犯カメラの映像というより、北山池運動公園、西側の映像的資料は、一切なかった。

 西側の新興の住宅地がまるまるなかった。 

「目録作るときのミスちゃいますか、高崎たかさき管理官に言わんと、、」と清家せいけがいいかけた瞬間。

 飾磨しかま相当、力を入れて清家の頭を小突いた。

「痛てっ」

「このこと、誰か他に漏らしてみろ、おれのニュー・ナンブでお前撃ち殺すぞ、清家」

「はぁ?」

「それだけは、守るって、誓え」

 飾磨が清家の額に自分の額をぶつけて迫った。

「わかりましたって、誰か、どっか持っていって、調べ直しているんとちゃいますか?」

「それやったら、昨日と同じ、平和な今日が来るな」

 と飾磨。

 清家が、あらたな菓子パンを頬張ろうとしたその瞬間、清家の向こう側に人影が見えたような気がした。

 この映像資料室としている、会議室の入り口の向こうの廊下に。

 飾磨は、とっさに部屋の明かりを消した。

「うわっ停電や」清家が叫んだ。

「しっ、声を立ててニュー・ナンブで撃ち殺す」

警察官は2日連続で働いて一日まるまる休む。二勤一休。鴨川署に、刑事や制服警官がこの時間にいても全然おかしくないのだが。

 廊下の人影は消えていた。


 Two cops work on the midnight.


 

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