Hip to be square

 清家には、きつく、言ったものの、飾磨は丸二日考えた。荒尾に相談するのが、刑事として、いや警察官の筋道すじみちだ。

 しかし、勘がNOと言っていた。


 次の日、清家を携えずに、映像資料室とされる、会議室にもう一度誰も居ない、時刻を見計らって、入り込み、ざっと調べたが、なかった。

 清家のいったとおりに目録を見てみた。

 目録は、しっかりあった。松ヶ崎西杉町と割り振られて、001番から

016番まで。

 目録上は、16件のビデオがある筈である。


 長峰家はその西側住宅地の一番東側、つまり死体が遺棄された北山公園に一番近いところに建っている。

 いわば、長峰家の防犯ビデオは公園へ西側からののすべての侵入を抑えるような形で見張っているのだ。

 西杉町16件もはいらない。

 長峰家のビデオだけ見たい。


 相談する相手が、難しい。防犯ビデオの目録から、閲覧まで、図書館みたいなシステムで、内勤の鴨川署の典型的なオールドミスの30代の女性警官が担当しているが、すぱっと西杉町を尋ねて、ないことになったときの対応が難しい。

 どうして尋ねたのか、と、なり得る。

 質問されて答えるのと違い、質問する側は明確な目的を持っているものだ。それとなく聞くテクニックは聴取でしっているが、ここは、警察組織内だ。


 清家を使うかとも思ったが、あのバカだと、とっさに何をするかわからないので余計面倒だ。

 正直に荒尾に言った場合どうなるのか?。

 

『捜査妨害の恐れがあります』


 これは、内部調査扱いになるのか?現在行き詰まっているとは言え、鋭意捜査中の案件である。

 悩みながら、飾磨は所轄刑事として雑務をこなした。

 捜査の対象が広がっていた。

 高崎管理官は、事件後二回目の月曜日のよる、火曜日の朝にかけて、公園の周囲100メートルを封鎖して、検問をかけた。

 人とは、だいたい、毎週、同じ時間に同じ場所を通るように出来ている。

 これも、捜査のセオリーだ。どこの県警でもおこなう。

 しかし、初動のミスを大々的に府警内部とメディアに報じるようなものだ。

 検問は制服警官も動員してかけるが、応対は制服警官がするものの刑事が監督者としてつきあう。

 これを、月曜日の夜更けから、火曜日の朝まで夜通し行う。

 まさに、その夜は、パトランプのあかりで、松ヶ崎の夜空が赤く染まる。

 府警本部に記者クラブを持つ、メディアはもう、迷宮入りの可能性を色濃く感じている。

 地方紙や、全国紙でも、夕刊辺りに連載記事を載せるためと称して夜討ちをかけられたといっていた一課の刑事も居た。

 

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バイバイララバイ 美作為朝 @qww

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