Do you believe magic

飾磨しかまはん、どこ行くんです?」清家せいけだ。会議が終わり、会議室を出ようとする飾磨を清家が捕まえた。

 清家には、見つかりたくなかったが、しょうがないし、清家は防犯カメラの整理に回されていたちょうどいい。

「ここんところ、非番とか単独行動が多いでんな、荒尾あらおさんになんか言われまっせ」 

「好きにするさ、荒尾さんの懲戒免職ネタぐらい、もう掴んでる」

「ほんまでっか?」

 ニヤッとしてみせるだけの飾磨。

「それよりな、お前防犯カメラのほう割り当てられとったやろ」

「はぁ」

 全然しっかりしない。

「あの被害者ガイシャの遺棄されてた、公園の西側のビデオつーか、DVDとかHDD見かけたか?」

 飾磨の声が急に低くなった。

 清家の急に顔も固くなる。

「なんでそんな事訊きはるんです?」清家も犯罪はおかせないタイプ。いや、対面式の賭け事が出来ないタイプか。

「その顔は、ビンゴやな」

 飾磨は、軽く、清家のでかい頭をヘッドロックし、放す。付け過ぎのシャンプーの匂いと頭皮そのものの匂いの混じった、臭い頭だ。

 飾磨の声がめちゃくちゃ低くなる。

 聞こえるか聞こえないかどうかぐらいだ。

「公園の西側のビデオ一切見てないやろ」

「なんで、飾磨さんがそんなこと知っているんですか?」

「手品や」

 飾磨は、ゆっくり方向転換して、もう一声。

「それも、タネなし」 

 飾磨は、防犯カメラの映像、証拠すべてを保管してある、資料室に向かう。清家は、どこに持っていたのか、カレーパンをもごもごしながら、飾磨の後につづく。

「今頃って、映像資料室って誰か居るんか?」と飾磨。

「そんな仕事熱心な警官なんていませんって」

 二人は、資料室に割り振られている一室に入った。

「清家くん、君に手柄をあげよう、警部昇進は間違い無しかもしれないぞ、はたまた減俸30%に停職3ヶ月かもしれんけど」

「めっちゃやばそうじゃないですか」

「ヤバイね、俺なら、よう、いじらんね」

「えー」と言いつつも、清家はぴったり飾磨について、夕方の会議が伸びて真っ暗の資料室に入っている。

「さぁ、公園の西側に位置するすべての映像資料資料を探したまえ、ワトスン君」

 と飾磨は、いうや部屋の電気を点けた。

 資料室の窓から外を見ると鴨川署からは、川端通に向けどんどん刑事が帰宅していく。「電気つけないほうがいいかもな」と飾磨。

「えー」と清家。

 飾磨は、すぐLED電灯を消した。あっという間に部屋は真っ暗になった。

「こりゃ、無理だな、ワトソンくん電灯を点けたまえ」

「こんなん、二人きりで探すのは無理ですよ」

「じゃあ、荒尾さんを呼ぶか、そいつは危ないね、非常に危ない関西弁で言うところの変な音便化して、あむない、や」

「えーどういうことですか、飾磨はん、もういい加減自分だけに打ち明けてくださいよ」

「調べるのは適当でいいんだよ、タイトルだけで、ワトスン君、まずは、そのドアの近くからいこう。千里の道も一歩からだ。これって、曹操そうそうだったっけ?」

「ちゃいますよ」

「じゃあ、誰なんだねワトスンくん」

「阪急梅田駅です」

「おお、それ、けっこうおもろいやん」

「うちの高校のやつ、みんな言うてましたよ」

「なんや、飲み屋の姉ちゃんには使えんな。ジョン・ワトソン君、君だけにヒントを与えよう、その名は、ナガミネ」

「ナガミネ、なんですか、それ」

「あの死体遺棄現場の公園の西側を抑えている防犯カメラの持ち主だよ」


Take a wild guess.

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る