Video killed the radio star.

 その夜から夕方夜更けにかけ。高崎管理官は二度目の聞き込みローラーを現場周辺にかける。丁度サラリーマンが帰宅した時間にかけて。

 この時間、一応に例外なく、全員が不機嫌。事情徴集対象者も二度目の事情徴集に訪れている刑事も。疲れた仕事帰りに聞きたい話題ではない。

 聞き込みは、難渋を極める。刑事も流石に疲れている。これ当たり前。

 全国の警察管全員が寝不足。二勤一休のシステムは、人間の生き物としての基本睡眠覚醒システムに合致していない。警察勤務体制のディレンマ。

 それと、付近の半径100メートルの防犯カメラの映像を完全収集。

 聞き込みも、聞くチームが少し違ったほうが少し違った情報が得られる。

 聞き込みは、公園の入り口にある学生マンション、家屋へ重点的にかけられる。聞き込み合算で4度目の対象の家もあり。こういう家は、疑われているのかと、更に口が重くなる。

 聞き込みも、初期が最重要。時が経てば経つほど個人の思い込みや、信じ込みがおおくなり客観性が減り情報の確度が落ちる。


 それと、付近半径500メートルの防犯カメラの映像を完全に徴集。

 飾磨しかま清家せいけは、午前中、聞き込み班だったので夜半は、防犯カメラのチームへチェンジ。

 最初から防犯カメラを設置していそうな。コンビニ、大型店舗、大型施設、大型アパートは避けて個人宅で防犯カメラを設置していそうな、先に金持ちっぽい家屋をあたる。それと、新しい家。古い家屋は防犯カメラ未対応。

「この辺は、松ヶ崎とか北山ってリッチな家ばっかですな。飾磨さん」清家は本日何食目かわからない握り飯をコンビニで買って食べながら喋る。

「この山の向こうにさらに住宅地が出来たからな、経済やな、経済それと、、」

「試験の時、勉強しましたで、見えざる手でっしゃっろ」

 撮りっぱなしににているビデオをメモリー媒体とはいえ取り出して、、と面倒なことを飾磨たち刑事が必死に捜査への協力を説明し頭を下げ、貰い受ける。

 喋るのは、飾磨だけ、頭を下げるのは飾磨、清家の二人。

 露骨に、嫌な顔をするぐらいならまだましも、自分の家のプライバシーを片手に提供を完全に断ってくる家も多々ある。しかし、残念ながらあくまでも任意、強制力はない。しかし、そのことは一切説明せずに、ただただメモリーの提供だけを強く訴え続ける。必要と成れば、後日裁判所の礼状がでる可能性はある。そこまでは一切説明しないあしからず。あくまで警察サツカンのほうが一般市民より立場は上。これ全国の警察組織の常識。

 大型店舗や施設は問題なく渡してくれる。売上の何%は確実に万引きに持って行かれている。防犯と治安は警察と隣り合わせだからだ。

 キーになるのは、運動公園の南に位置する退職後の再就職先の北山自動車教習所。その向かいの紳士服売り場のチェーン店オオナカ。市営地下鉄の松ヶ崎駅のほうでは、駅前に全国チェーンのレンタルビデオDVD店とその向いにコンビニがある。しかしこの両店が面する北山通は、左右二車線の通行量多い大通り。通行量の多い道路は逆に対象を絞れないので、困る。

 あまりあてに出来なさそうだ。

 一番は、死体があった北山池運動公園そのものの防犯カメラだ。

 北山通を東へ修学院の方へ行くと、京都工科大学に、チェーン店の電気店がある。

 距離的には管理感の指示した500メートルから100メートルを超えている。

「一応行っとくか」と飾磨。

「当たり前ですがな」と清家。変に真面目な男。その真面目さで先輩の同僚にすこしでも接してほしいが飾磨は言わない。

もう口がきけないほど、疲れている。


 Exausted more than meanings.

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