Generation swine
2月5日、朝、鴨川署。捜査会議。会議といっても、
ほぼこの事件に関する初期情報が全部揃う。ここで、捜査の初動の方針が決定する。
この三日間の周辺への聞き込み。鑑識の報告結果。法医学研究所の検死の結果。防犯カメラの内容の概要。
真冬に厚手の上着を着ていない女性の身元はすぐ割れた。
事件発生の二日後、滋賀市内南部に在住の51歳の
名前は、
警察は、遺体の確認後、動転して署内の近くのベンチに座り込んでしまった母親
こういった場合、こういった精神状態のほうが、たくさんどちらでもいい情報も含めて、かなり有利な情報が引き出さられるのだ。しかし、口が極端に固くなる遺族も居る。緒方成美は後者だった。高崎管理官さらに窮地に一歩、アウチッ!。
高崎管理官は、その朝、恐ろしく分厚い束になったA4の報告書を配布したのちに、立ち上がり、一言一句律儀に読み上げ始めた。
鴨川署の捜査一課
「わりと、
そう言って、飾磨のパイプ椅子の背の部分を蹴る。
飾磨は、パイプ椅子に深く腰掛け、右頬をしかめて見せて、振り返るだけ。一度に軽蔑と今朝の挨拶併用。
清家は、荒尾の威圧に真剣にビビっている様子。大きな体を小さくする。
高崎の声は、普通に文章を
「
殺害された、緒方美月の写真が報告書にクリップで留めてある。おそらく大学の学生証の写真のコピー。大学で手に入れたのだろう。無表情で何も読み取れない表情。どこにでも居るタイプ。特別美人でも
「なんで
この茶々は、高崎にも聞こえたのか、高崎が露骨に咳払いを入れ、隣の鴨川署の
「おおこわ」
「死因は、右側頭部の頭蓋骨骨折ならびに、脳挫傷と思われる、胃の残留物その他、体温の低下からみて、死後数時間と見られ、死亡推定時刻は2月2日、午前1時から4時頃と検視官から報告が入っている、尚、
「仲良しさんに、いきなりやられたんやな、」と荒尾。
「後ろから、夜道で"どかん"かもしれませんで」と小さい声で清家。
「あほやな、女の勘は鋭いねんぞ、そんなもんくらうか」
「そこーっ静かに」
さすがに、高崎管理官が怒鳴った。
「現場には、それほど、出血した血液が残留していない。また、真冬の夜間の
高崎管理感は続ける。
「しかし、なんで、公園なんや、どうせ死体運ぶんやったら、山奥とかにしたら、、」と荒尾。
今度は、飾磨がわざわざ振り向いて、
「荒尾さん」と注意。普通の大人としてのマナー。
「一方、鑑識からの報告だが、現場は、不当的多数の人間が現れる、公園で毎週末定期的に試合や、練習が行われ、また舗装されたタイルの上に
「鑑識、サボっとるな」と荒尾。
「又、
「もうなんも出んやろ」と荒尾。荒尾が茶々を入れるたびにタバコ臭と昨晩の晩酌の匂いが背後より飾磨を襲う。
「防犯カメラのほうは多岐多数あるため、いまだ鋭意捜査員によって確認中」
荒尾が何か言わないかと、飾磨が振り返ったところで、高崎管理官が話を締めた。
「概要は以上。詳しくは、配布されたペーパーに全て書いてある。証拠からみて、
Yes sir。
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