概要
※これは、昔のヨーロッパで実際に行われていた動物の裁判を描いたお話です。(賞に応募した内容に若干の加筆修正あり)
<あらすじ>
物語の舞台は、太陽王ルイ十四世の時代のフランス。美しいお姫様のマリーが侍女のサラ、ペットの黒猫ニーナとともにパリにやって来た。マリーたちは、街のど真ん中でとても大きなブタに遭遇して困っていたところをシャサネンという少年に助けられる。
シャサネンと出会ってすぐ、マリーたちは、オーノア伯爵という人の馬車から飛び出したマルチーズ犬がシャラント伯爵夫人にケガをさせてしまうという事件を目撃する。怒ったシャラント伯爵夫人は、マルチーズ犬を動物裁判で訴えると言う。
シャサネンは、動物たちを弁護する弁護士で、「訴えられたマル
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!児童文学と侮ることなかれ。大人の中世史ファンも満足するだろう。
小学館ジュニア文庫小説賞と聞いて、もっと幼児向けの作品かと想像していた。
これまで「時間の浪費か」と思って食指を伸ばさなかったが、名月明さんの作品は軒並み面白いので、「まぁ、時間潰しに読んでみるか」とスクロールし始めた次第。
脇道にそれるが、所詮、趣味とは暇潰しである。読書が金稼ぎになるとは寡聞にして聞かない。
さて、読み始めての感想は
「これって小学生相手の作品なの?」
「ジュニアって、ジュニアハイスクールの略?」
と言うもの。結構な知的レベルである。
応援コメントへの返答で作者が語っているが、「歴史には悲劇も喜劇もある」。本作品は喜劇の方だ。特に、後半のネズミ編はシュール。皮肉すら…続きを読む - ★★★ Excellent!!!エンターテイメント小説とは、まさにこの小説のことだ!
裁判を描く作品は数多ある。
しかし、動物裁判の話を描いた作品をご存知だろうか?
私は、この作品を読むまで、まったく知らなかった。
犬が裁判に?
弁護人がつく?
――どんな話だ!
そう、読書の炎がメラメラと燃え上がることだろう。
そして、読み始めれば、登場人物の魅力がじわじわと伝わってくる。
まずは美しいお姫様のマリー。
そのマリーを慕う侍女のサラ。
冒頭はこの二人が窮地に遭ったところから始まる。
展開は実に鮮やかで、テンポよく話が進んでいくので、読む方もなかなか止まらなくなる。
実際、私は時間の合間で読んでいたので、大変もどかしかった。
子ども向けに書かれた文章は、コミカルで物語の…続きを読む - ★★★ Excellent!!!新人賞、高次落選作。人間VS動物の面白おかしい法廷バトル!
中世ヨーロッパで実際に繰り広げられた『動物裁判』を題材にした小説です。
人間に危害を加えた獣害に対しても、一方的に駆除するのではなく大真面目に裁判を開くという、嘘のようで本当にあった出来事。
犬やネズミを法廷に立たせ、原告と弁護士が喧々諤々の論戦を始めるという、シュールな展開がめちゃくちゃ面白いです。
また、舞台背景の説得力も秀逸です。
花の都パリとは名ばかりの、不衛生だった町並みや世俗が克明に書き込まれ、作者様の丹念な取材力が冴え渡ります。
そんな町だからこそ動物が跋扈し、人間とトラブルを起こしやすい……という下地があるわけです。
連作短編という形式で、2つの裁判を扱っていますが、主人…続きを読む