第19話  米倉涼子?似のIさん ①

「エレジーさん、今度、俺の知り合いが来るから、よろしく頼むわ!」



私の指名客Kさん(40代)が言った。



「結構、口うるさい人やけど、エレジーさんやったら紹介しても大丈夫やと思うわ!」



そのKさん自身、私が初めて施術した時、威圧感たっぷりの男性だった。施術が終わると、最初の威圧感は消え柔和な顔になり言った。



「ワシ、これからアンタを指名するわ!」



それから、ずっと私を指名してくれるようになった。にしても、こんなイカツイKさんが口うるさいという人。



(おいおい、Kさんが口うるさいっていうからには、よっぽどの人なんやろな~。大丈夫だろうか・・・)



私は、少し不安になった。けど、ジタバタしてもしゃーない。自分の持てる技術を出して一生懸命やるだけだ。



Let it be !



いつもの思考に戻る。



そして、そのお客様が数日後、私指名で予約してくれた。私は、どんなヤカラ的な男性が来るんだろうかとばかりに、予約時間が迫ってくると、施術しながら気になって仕方なかった。



そして、予約時間の少し前に、店の扉が開いた。



入ってきた人・・・驚いた事に、モデルのようなスタイルの良い女性が入ってきた。ただ、顔は・・・キツそうな顔付き。



私は施術中だったので、他のスタッフが応対した。見るからにプライドが高そうな女性だった。



そして、いよいよ初対面。



「お待たせしました、Iさん。本日担当致しますエレジーです。Kさんからお話は聞いております。宜しくお願い致します。」



「宜しくお願いします。」



もう、そのピンヒールで踏んで下さい!的な女王様感満載だった。選んだコースは、90分の足つぼとマッサージ半々のセットコース。



通常、様子見でとりあえず60分、もしくは慎重な方だと30分にしといての延長というのが一般的だった。



最初から90分・・・こりゃ~ファーストコンタクトで嫌悪感を抱かれたら、超気まずいな・・・。



施術が始まって、すぐに力加減をお客様にお聞きする。実は、この時の声のトーンや言葉で、お客様の抱いている灌頂がだいたいわかる。



「Iさん、力加減はいかがでしょうか?」



私は、ドキドキしながら聞いた。

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