第10話 愛すべきキャラクターKさん<2>

そして、そんなKさんとの別れは突然に訪れた・・・。


Kさんが来店されなくなって、半年以上経った。


スタッフたちも、「Kさん来なくなったね~」と、たまに話題になっていた。


そんなある日。


私が順番で一番手だった時に、電話が鳴った。


「おう!今、いけるか?」


懐かしい声。


Kさんだった。


「Kさん、久しぶりじゃないですか!」


「声でわかるんか?」


「わかりますよ~!」


「そうか、今から行くわ。」


久しぶりにKさんと会える事が、純粋に嬉しかった。


「いらっしゃいませ~!」


いつもの服装、いつもの爬虫類柄の雪駄、回りを威圧するようにニラミをきかしながら・・・しかし、いつもと違う事がたった一つあった。


顔の雰囲気が変わっていた。


明らかに普通の痩せ方ではなかった。


「え・・・Kさん、痩せましたね・・・。」


少々の変化だったら、別に触れなかったけれど、触れなかったら逆におかしいくらい、激ヤセしていた。


「ちょっと大病患ってな・・・。入院しとったんや。」


Kさんは笑いながらそう言った。


「あ、そうだったんですか・・・。」


私は、それ以上聞けなかった。


「あ、Kさん、今日は久しぶりに私が担当します!」


「え~久しぶりに来たのに、エレジーさんか~。お、Oちゃん!久しぶりやな~!」


私の次の順番だった、女性スタッフのOさんにKさんが声をかけた。


Oさんは、Kさんお気に入りのスタッフだった。


「Kさん、Oさん空いてるんで指名したらどうですか?」


私がKさんに気を使って、言ってみた。


「いや、俺は指名はしないって、前言ったろ。エレジーさんでエエんや。最後にエレジーさんに当たってよかったよ。」


「え、最後?え、どういうことですか・・・?」


私はKさんの言っている意味が理解できなかった。

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