第14話 広告って
幸か不幸か、小鳥のペットホテルを検索すると、今でも当宿のサイトがトップページに出て来ます。これは当宿にとっては有難い事なのですが、小鳥業界――そんな言葉があるのかどうかすら知りませんが――全体にとっては、あまり良い事ではない気がします。競争相手が居ないという事ですから。
本当なら、もっとお金のある、ちゃんとした企業が小鳥専門のペットホテルを運営して、そこが満室で預かってもらえなかった、あぶれた鳥さんが当宿の様な所へ流れて来る、という状態が、全体にとっては理想的なのだと思います。でも小鳥専門は儲かりませんからね。犬専門や猫専門なら、まだ儲かるチャンスは幾らでもあると思いますが、小鳥はなかなかそうは行きません。顧客の絶対数が違いますから。だから利益優先の企業は小鳥専門のペットホテルを作ってはくれない訳です。
大手企業が小鳥専門のペットホテルを運営してくれると何故理想的なのかと言えば、広告を打ってくれるからです。世の中の人は、小鳥専門のペットホテルなどという物が存在している事自体を知りません。小鳥を飼っている人ですら、です。あると思っていない物を調べる人はあまり居ません。調べれば簡単に見つかる物であっても、調べる切っ掛けが無いのであれば、調べるはずがないのです。その切っ掛けを作ってくれるのが広告です。
では大手ではない当宿は、過去に広告を打った事が無いのかと言えば、実はあります。何度かあります。『コンパニオンバード』という鳥の専門誌をご存じでしょうか。年に数回発行されるムック本があるのです。そこに広告を打ちました。
紙面の8分の1とか16分の1とか、とにかく小さな広告です。予算的にそれが精一杯だったのですが、結果から言えば、それは失敗でした。何故ならコンパニオンバードを購入するくらいの人であれば、広告など見なくても鳥のペットホテルの存在くらい知っていてもおかしくありません。そんな人に広告を打っても駄目なのです。
Googleのアドワーズ広告もやりましたが、同じですよね。あれも
あ、そう言えば、うちも不特定多数に向けた広告打った事、一回だけありました。郵便局の封筒に乗せる広告。あれは不特定多数に向けて打たれていました。結果ですか? 郵便局と間違えてうちに電話してくるお年寄りが増えました。それ以外は変わらず。広告って難しい。
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