第12話 コンテナ大改造(後)
断熱材にも『日本ウレタン断熱協会』『発泡プラスチック外張断熱協会』『日本ポリエステル断熱材協会』などイロイロありまして……もういいですね、流石に。
壁に埋め込む断熱材は、最初はスタイロフォームにするつもりでした。スタイロフォームと言ってもピンと来ない人の方が多いかも知れませんね。要は発泡スチロールっぽい物だと思ってください。スタイロフォームと発泡スチロールは全くの別物ですが、雰囲気的には似ています。大体そんな感じだと思ってもらえれば大外れは無いです。
そのスタイロフォームの板状になった物がホームセンターの建材売り場に売っているのですが、これを断熱材に使おうと最初は思っていました。しかし、スタイロフォームはちょっと高い。発泡スチロールなら安くはなるのですが、加工がしづらいという欠点があります。お金もそろそろ底を突きます。なるべくなら安い方が良い、それで加工がしやすければそれに越したことはない。そう考えた私は、結局スタイロフォームでも発泡スチロールでもなく、グラスウールを選びました。
グラスウールはその名の通り、微細なガラス繊維で出来た、ウール、と言うより
欠点としては湿気を貯め込むという事、あと古くなると繊維が空気中に飛散するのではないかと言われていますが、これについてはまだよくわかっていません。しかし問題はあれど背に腹は代えられません。私はグラスウールを購入し、コンテナに戻りました。
(このとき自転車でホームセンターに行ったのですが、軽トラックを借りるべきでした。ホームセンターでは大きい荷物や長物を買うと、無償で貸してくれるのです。しかし私は自転車で運べるだろうと高をくくって借りませんでした。しかしグラスウールの塊は自転車の荷台には大き過ぎ、バランスが崩れて自転車に乗れません。その結果、ホームセンターからコンテナハウスまで、グラスウールを後ろに積んだ自転車を押して帰ることに。まあツラかったの何の)
さて、壁面の作業は簡単です。柱と柱の間にグラスウールを切って詰め込み、上から石膏ボードを張り付けます。そして仕上げに杉板を縦に張り付けて行きます。文字で書くと本当に簡単な作業なのですが、一人で全てやるとなると、体力的に大変でした。
その作業と並行して、扉と間仕切りも作らなければなりません。コンテナハウス全てが鳥部屋となる訳ではありませんから。鳥部屋は半分弱、残りは客室です。
鳥部屋の扉は450×1800ミリのパイン集成材の板――テーブルやカウンターに使う板です――を2枚使いました。間仕切りは角材で枠を組んでラス網を張りました。ラス網とはモルタルや土壁を塗るときに、下地に使う金網です。表面に塗料が使われている金網は、鳥が塗料を
さあこれで、コンテナ内部の半分は完成しました。残り半分は客室ですが、やる事は鳥部屋とそう大差はありません。客室にもお客様のケージを置く為の棚を作りましたが、棚受けは使いませんでした。代わりにカラーボックスを置きました。つまりカラーボックスを並べてその上に合板を渡し、棚にしたのです。
そもそも鳥のケージは軽いですから、土台に高い耐久性は要求しません。大量生産で寸法に狂いが小さいカラーボックスは、棚の土台にうってつけでした。壁面には鳥部屋と同様、柱の間にグラスウールを詰め、石膏ボードを張りました。そしてそこに壁紙を貼り、終わりにしました。お客様を放鳥する事はありますが、壁を齧るほど長時間出す事はまずないでしょうから。
あと室内で残るは天井です。ここは簡単に角材を2本長辺に平行にドリルねじで打ちつけ、あとは杉板を直交させてその角材に打ちつけるだけです。鳥部屋の天井は杉板すら使わず、ホームセンターの端材コーナーに置いてあった合板を適当に集めてきて打ちつけました。これで室内の作業はほぼ終わりです。
後は外、特に屋根を何とかしないといけません。いかに内壁に断熱材を詰めたとはいえ、屋根をそのまま直射日光にさらしていたのでは、夏になれば灼熱地獄です。エアコンの冷房など追い付かないでしょう。
屋根の上にも角材を四本ほど渡し、横木で繋ぎ、その上に合板を張り付け、更にその上に、抗UV加工された、トラックの幌に使うシートを張り付けました。お金にさえ余裕があれば、屋根の上にスレート瓦を置く所までやりたかったのですが、流石にそこまでは無理でした。
ここまでざっと書いて来ましたが、期間としては大体2か月くらいは掛かったと思います。要するに、コンテナを買ってそれを人が暮らせるくらいにまで改造するには、時間と体力と、あと最低でも総額100万円くらいかかるよ、というお話でした。
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