第13話 自販機を置こう

 お金がこの世の全てではないとは言いながら、お金が無ければ何も出来ないのがこの世の常です。だからお金を稼ぐ方法をイロイロ考えなければなりません。


 私が借りている土地に最初から建っていたユニットハウス、そのユニットハウスと道路の間に、2メートル幅くらいの間隔があります。ある日、ふと思いました。

「ここ、自販機置けるんじゃないかな」


 自動販売機、なんと甘美な響きでしょう。自動で販売してくれるのです。人件費を払わなくても勝手に物を売ってくれる機械。何その神様。目の前の道路は国道26号線と国道170号線をつなぐ抜け道的な道路で、それなりの通行量があります。しかも近くに中学校があり、その通学路でもあります。これはラッキーチャンスではないのか。


 思い立ったが吉日です。私は2社の自販機会社に連絡を取り、缶飲料の自販機を2台置くことにしました。設置は勿論、電気工事も自販機会社がやってくれます。私はアホの子の様にただぼーっと見ているだけで済みました。更には充填も空き缶回収も管理一切は向こうがやってくれ、私は電気代だけ払えば、売り上げの何割かを貰えるという簡単なお仕事です。あれ、もしかして俺って人生の勝ち組じゃね? そう思った瞬間もありました。


 結論を言います。儲かりません。全っ然駄目です。夏場の一番暑い時期でもうちの口座に振り込まれる金額は月に5、6千円。それに対して電気代は最高4万円に達しました。赤字なんてもんじゃありません。


 けど、それでも3年近くは置いてたんじゃないですかね。うちの近辺は街灯が少なくて、夜は暗くて危ないのです。だから地域貢献だと考えて置いてたんですけど、あまりにもお金がかかり過ぎる。結局いろんな理由こじつけて2台とも撤去してもらいました。


 まあ、東日本大震災の影響で今の自販機は省エネタイプが主流になり、電気代もそれほどかからないという話ですが、それでも二度と置きたくはないなあ、というのが素直な感想ですね。

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