概要
"生きたい"という願いですら、この世界への裏切りなのか――
「――潜入任務だァ?」
ほとんど溶けてしまったベリーシェイクの飲み干すと、車持未紅は隣でストロベリーマティーニを傾ける女に訝しげな視線を向けた。
「そうさ。楽勝だろう、お姫様?」
チェシャ猫めいた笑みを浮かべ、女は――傭兵派遣セル《烏合の衆》の首魁、"ナーサリーライムズ"は真っ赤なカクテルが注がれたグラスをカウンターに置いた。
「先日壊滅した《パナケイア》セルが、とある顧客に『商品』を売りさばいた。まあ、それは良くある話さ。資金稼ぎの良くある話。ところが先日連中は別のセルとの抗争で壊滅しちまって、その混乱でお客に『商品』が届かなかった――とまあ、普通なら、これで終いの笑い話なんだが……」
"ナーサリーライムズ"は上機嫌でグラスの縁を爪弾いた。チンッ、と甲高い澄んだ音色がバーに響く。
「
ほとんど溶けてしまったベリーシェイクの飲み干すと、車持未紅は隣でストロベリーマティーニを傾ける女に訝しげな視線を向けた。
「そうさ。楽勝だろう、お姫様?」
チェシャ猫めいた笑みを浮かべ、女は――傭兵派遣セル《烏合の衆》の首魁、"ナーサリーライムズ"は真っ赤なカクテルが注がれたグラスをカウンターに置いた。
「先日壊滅した《パナケイア》セルが、とある顧客に『商品』を売りさばいた。まあ、それは良くある話さ。資金稼ぎの良くある話。ところが先日連中は別のセルとの抗争で壊滅しちまって、その混乱でお客に『商品』が届かなかった――とまあ、普通なら、これで終いの笑い話なんだが……」
"ナーサリーライムズ"は上機嫌でグラスの縁を爪弾いた。チンッ、と甲高い澄んだ音色がバーに響く。
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