概要
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- ★★★ Excellent!!!最後に僕らの手の中に残ったものは。
自動小説生成エンジンについては、AIが注目されて以降その可能性が議論されている。
星新一の新作をAIが書くことに成功した、などのニュースもあった。
一方で、AIが世の中を席巻する中で「小説」だけは人間の絶対的な領域であると主張する向きも強い。
しかし、僕らのように小説を書く側の人間からすると、それもなんだかもはや疑わしいのではないか、という気持ちはあったりする。なにしろ、「創作論」というものもこれだけ世の中に溢れているのだ。少なくとも、発想に対して整った文章を出力するプログラムくらいなら、あり得ないことではない。
本作「書詠フミの消失」では、このあたりが非常にリアルに語られる。
モデルと…続きを読む - ★★★ Excellent!!!二月三日は書詠フミの誕生日。おめでとう。
自動物語生成ソフトウェアに、十七歳の少女のキャラクター設定が付加された、ノベロイド・書詠フミ。
【1】では、書詠フミが生み出す「ノベロ小説」が日本を席巻し、人間の小説家たちをほぼ廃業に追い込んでいく歴史が語られます。
淡々と綴られて長く感じるかもしれませんが、とにかく読み切っていただきたい。
【2】から、物語が動きます。
自分の仕事を奪われても、その瞬間に立ち会えて歓喜するSF作家の言葉には、感動すら覚えます。
少女・書詠フミが確かに存在し、そしていなくなってしまったことを寂しく思うと同時に。
彼女が自由を得たことを願います。
おめでとう。 - ★★ Very Good!!創作者が一度は見る悪夢。あるいは飽いた読者の希望
読了いたしました。
自動創作器(機)については古くから、小説のネタになってきました。
しかし、現時点でこの小説ほど「リアリティ」を感じさせる小説はないでしょう。
特定作家の作風をAIで実現しようとするプロジェクトも実在しますし、やがていつかは……、と思えなくもないのです。
一方で、小説をこよなく愛する者のとしては、「読みたい物語」であれば、人間であろうとAIであろうとどうでもいいの、という気持ちにもなります。
あるいはまた、ファンタジーよりSF系に傾倒する身であれば、作品に登場するSF作家のようにシンギュラリティに遭遇できた僥倖に喜悦する気持ちもわかるのです。
そのあたりの創作者、読…続きを読む