新作「花の夢を見たんだ」連載完結しました。お付き合いいただきありがとうございました。
近代文学を題材にした作品を書きたくなり、真っ先に思い浮かんだ夏目漱石の「夢十夜」の第一夜を基にしました。高校時代に何度も読み返したんですよね。あとは中島敦の「山月記」とか。
あの作品の美しい情景と空気を壊さないよう必死に頑張ったのですが……本当に難しい……「零点です」って幻聴が何度も……。
それにしても。いつもテキストエディタで書いてからカクヨムにコピペなため、実際の文字数が大分違う……十一万五、六千くらいかと思いきや……もうちょっと書けるやんけ……。
では、いつもの解説を。
・石雪
「夢十夜」に星が流れる描写があるので、星がよく降る町にしようということに。名前は適当です。流れ星だから「石」とつけよう、に毛が生えた程度。
お祭りはケーブルテレビの番組で見た、地方のお祭りがイメージ。お祭りの雰囲気を出したかったので、書いてみました。
・高台の屋敷
「夢十夜」に合わせるなら石は中庭じゃなくて奥座敷のほうの庭だろと思わないでもなかったのですが、話の都合で中庭に。
イメージはケーブルテレビの某番組で見た、武家と豪農と商家の様式を兼ね備えたお屋敷……の寂れたバージョン。表部分に商人や武士として応対したりするための部屋がいくつもあり、商品を仕舞う蔵などが建っていて。中庭を望む廊下に使用人の部屋があって、奥座敷に住人たちが住んでいて。これぞ日本のお屋敷、な雰囲気が素敵だったので採用でした。
・登与
和風で古そうな名前はなんだろうと考え、それっぽいからと命名。
拾われたときにいた上の子たちが自立してからは最年長になり、趣味と実益を兼ねた行商に励むように。下の子たちからは慕われてます。
ともかく元気で前向きな女の子、になるよう気をつけてました。あと、礼儀正しいのと。わけありな子たちが兄弟なことや行商で色々な人を見てきた子、というのも忘れないよう努めました。
辰臣や佳宗とわちゃわちゃしてるのを書くのが楽しかったです。
・辰臣
こいつはツンデレ、とひたすら念じながら書きました。ぼっちで面倒見がよくて、鉄面皮でデレるという最強スペック。
舞台を「夢十夜」に重ねて星降る町設定にしたため、隕石=天狗星なので天狗設定に。刀鍛冶なのは、隕石で作られた刀とか剣とかあるし狐とかが刀打った伝説ってあるよね――――という安直な発想からです。
過去や依頼品の場面は楽しかったなあ……。
元々は別の名前だったのですが、書いている最中にふと「そういや『星辰』の『辰』って星の意味もあるよな」と思いつき、星の神に仕えていた天狗の息子設定にぴったりやんけということで改名。安直やなほんまに。
・久江
「夢十夜」の世界だけでは間延びしそうだから何か話の筋をもう一つと考えた結果、他の子と反応が違う描写だったため主役へ昇格。
大人から見れば甘ったれだけどまあその歳ならこんな感じだよね、な普通の女の子を心がけました。人によっては一番共感しやすいかも。
このあと、登与の紹介で奉公に。おばあちゃんの厳しい女将教育のおかげで評価はうなぎのぼり……な感じです。
・黒天狗
とりあえず悪役を出さねば、ということで出演。名前を出そうかと思ったのですが作中で呼ぶ場面がないので、名無しになりました。
あんまり背景とか特にない……すまん名無し天狗。
・佳宗
書いているうち段々と辰臣大好き野郎やんけと思えてきた、辰臣をからかうのが大好きなあんちゃん。白織に押しかけ女房になれば~と誘導したのも、八割は辰臣の反応が楽しみだったからです。
つかず離れずの距離感で構う親友……を心がけたんです。はい。
一応、里の偉い人な設定。
・白織
ある意味物語の最重要人物。なのですがあんまり出番がない……ので、存在感をそれでも出そうと頑張りました。名前は綺麗な響き優先。
ゆるゆるふわふわかつ世間知らずな振る舞いで辰臣をキレさせること多々。それでも一応は世俗に馴染もうと努力はしていた……はず。超世間知らずなお嬢様気質。
こんな感じですかね。
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訳あり男装巫女×愛が重い水神の和風ファンタジーです。興味と時間があれば、手にとってくれるとさいわいです。
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