音楽科の高校生たちの恋模様を切り取った“音楽の恋”シリーズ、再度完結しました。読んでくださった皆さま、お付き合いいただきありがとうございました。
「悪魔のヴァイオリン」
「夢の欠片」「願いの鐘」「終焉の舞踏」からなる“音楽の恋”三編を下地に長編を書いてとある賞に応募した後、そちらで大いに活躍してくれた倉本君の話を書きたくなったので書いてみました。で、それに伴い、三編も長編に合わせて加筆・修正。二つの時間で彼らの恋を綴りました。
・倉本圭介
ピアノ科二年の二大イケメンの片割れと騒がれる実績充分なピアノ青年で、父親の知り合いのジャズバーでたまにピアノを弾いている。美伽の恋心に気づいてからかいながら見守るうち、一途で素直じゃない彼女に惹かれるようになっていた。
ともかく、何事もそつなくこなす腹黒紳士を心がけてました。でも計算高い非情さはなく、あくまでも高校生らしく爽やかに、がコンセプト。その結果、「鬼恋硝子~」の義孝や「月盗人」の麻也のように、主役を食う勢いで勝手に動いてくれました。
・「メフィスト・ワルツ 第一番」
フランツ・リスト作曲のピアノ曲かつオーケストラ曲。「村の居酒屋での踊り」と題された一番が有名。ヴァイオリンの調弦を模したという冒頭から、宮廷風とは異なる楽しそうな踊りの旋律が奏でられていく構成でして、倉本にからかわれるたびに美伽が「悪魔だよこの人……!」と毒づいているシーンに被ったため、選曲しました。個人的にはニコ動で聞いた、緩急自在で十一分を感じさせないカツァリス版が好きです。
今度こそ完結……のはず。「願いの鐘」に出てきた倉本の幼馴染みの大木涼輔視点のまでは、今のところ思い浮かばないですし。