「月盗人」完結しました。読んでくださった方々、お付き合いくださってありがとうございました。
この話は、数年前に次の作品を書こうと思っていたとき、たまたま某アニメ映画をちらりと見てあ、と思い立ちまして。「俺、何やってるんだろう」と思いながら宝探しに山へと向かうひょろひょろ貴族の構図を思いついたことがすべての始まりでした。それがこんなことになったのは、どうしてなのか。作者にも不明です。
・国名など
暁原は日本の呼び名の一つに「秋津島」というのがあるので、「あき」がつくのを、というところから。天原は、空に関係した名前がいいかなとなんとなく思ったから。
住宮などの国名は、そのままリアルの地名から考えつきました。
・立浪神社
名は、海辺の神社だから海に関係ある名を、という方向で決定しました。
イメージとしては須磨あたりにある感じなのですが、現地にモデルにした神社はありません。あくまでも空想。一番近いのは、天橋立の近くにある籠神社ですかね。すぐ目の前に海がある、新鮮な海産物が楽しめるところです。
・神路島
言うまでもなく、淡路島がモデルです。とはいっても、淡路島は古来から、少数ながら人が暮らしていたそうですが。
ちなみに、現地には伊弉諾神宮があります。山の麓にあるこじんまりとしたところですが、結構観光客が多かった……。
・天鳥神社
堺市にある、鳳神社がモデルです。ヤマトタケルが死後、白鳥となって降り立った最後の地。住宅に囲まれそばを電車が通る、静かな神社です。
なので英雄神も、ヤマトタケルを想定しました。
・温羅
岡山に伝わる、鬼退治伝承で退治される鬼です。
現在の鬼ノ城を拠点に一帯を支配していたので崇神天皇は吉備津彦を派遣、打ち負かすも、温羅は何度も鳥獣に化けて逃げようとする。吉備津彦はなんとか温羅の首をとって宮中の地中深くに埋めるが、首は呪詛を呟いて完全に死ぬことがない。そこで吉備津彦は温羅の妻に首を祀らせ、ようやく温羅の首は鎮まった――――
ちなみに、この吉備津彦の出生地は、桃の産地だったそうです。もろに桃太郎ですね。部下の一人も犬飼という名ですし。
また、この伝承の通り、吉備津彦が吉備国を平定したことは記紀に書かれてますので、中央政権が吉備国の豪族を平定したのは史実だったと思われます。温羅は大陸からやってきたという伝承もあるので、移民集団の有力者だったのかもしれません。
・神鬼族
御行が何者かを考えたとき、単なる盗賊じゃなさそうだからということで人外になりました。で、神を祀る特別な鬼にしようとなりまして。なので、特に何かを参考にしたわけではありません。
山中に里があり、スサノオとかそういう荒っぽい神を祀っている設定です。でも、他の神も敬ってます。