冴吹稔

（まだ）存在しない物語の後日談または番外　https://kakuyomu.jp/user_events/16818093074716520324 　上記企画への参加作品です。…

船乗りの父を海難で失った少年、ロランは母と妹を助けるために、王国最大の軍港都市ブラディスドックへと出稼ぎにやってきた。だが年来打ち続く海流の異常で港は機能を果たさず、人々は相前後…

異世界にやってくる転生者たちは、だいたい自分なりのビジョンを描いている。だが、世界の方はそうそう都合よくそれに合わせてはくれなかったりする。 そこで回ってくるのが俺たち「ゲキダン…

大文字学園高校の文芸部員である僕、袴田玲（はかまだ・れい）にはちょっと変わった先輩がいる。 いつからとも知れず文芸部室に居座って本を読みコーヒーをすする彼女、化野数多（あだしの・…

侯爵令嬢エルマは婚礼の十日前になって、婚約者ジェラルドから突如の別れを告げられる。 事情を聞けばなるほどと絆されるばかり、だけども貴族としての世間体とか体面のためには、どうしても…

世界を騒がせたパンデミックがようやく終息しかけた大学三年の夏。僕、鍜治隆弘はひさびさに九州の実家に帰る。幼少時に慕っていた伯父・知明の死去からは、葬送や追悼に参加できないまま一年…

【カクヨムコン５SF・ゲーム部門特別賞を受賞。ファンタジア文庫より書籍発売中です】 資産家の長女で頭脳明晰、個性的だが一目見たら忘れられない美貌の持ち主――それが僕の愛する解柔…

首都圏へのミサイル着弾に巻き込まれ、衝撃でどうやら遠い未来に飛ばされた、ちょっとレアな車輛免許を有する中年男、猿渡幹夫（さるわたり・みきお）。 複数の企業に資産を狙われる自治都…

想像力豊かなだけが取り柄の人間がぼんやりと暮らしていると、ときどきひどく奇妙な体験をしたような気分になる――そんな話を書き綴っていくつもりです。 不定期更新、怖さ保証なし。それで…

マリー・ドミナンテ嬢は悪役令嬢である。だが、自分の立ち位置に気付くのがいささか遅かったのだった。

地球連合軍の兵士ダンジュウロウ・フカマチは、失敗に終わりつつある植民惑星への軍事介入の中で、部隊からはぐれて生き残った。途方に暮れる彼の前に現れたのは、友軍の七人乗り戦車で――

「奴隷が回すアレ」が普及した未来の話。 回すのに参加できない少年の話。

桜の季節とはいえまだ肌寒い夜のこと。都落ちを前にした私はふと、ナトリウムランプの色に照らし出された、あの雲霞のような花を見たくなったのだ――

勇者グラフは邪神崇拝の村について調べるクエストを遂行中、ダンジョンの罠にまんまと引っかかってしまう。情報収集に秀でた斥候の男を、ハーレム化しかけたパーティーから放逐したのが原因だ…

起伏も喜びも乏しい人生を送って、枯死するように世を去った男、箕形亮介はあの世で女神から奇妙なオファーを受ける。新たに管理下に入った世界の基本設定を生前楽しんだMMOのそれにしたう…

未知の惑星に漂着し、救助の到着まで耐え忍んだ生物の苦悩と奮闘。 それを、惑星の先住民が知るのは遠い未来のことであった。

仲間うちでは「脚本（ダイホン）ん」と呼ばれる、目立たない風貌の人間戦士男、ケイウッド。 彼の世に知られぬ密かな仕事、任務とは――

卒業を控えた高校三年生の二月。僕、北島孝雄はクラス委員長の堅物少女、林堂美咲から思いがけないバレンタインデーのプレゼントを渡された。遅まきながら美咲の可愛さに気付いた僕は、卒業後…

　今は遠い１９８０年代。俺、諏訪原光雄はさほどコアでもないアニメファンとして青春を過ごした。そして５０代に差し掛かったある日、高校時代に楽しんだロボットアニメ「重戦甲ガルムザイン…

２０２０年代のとある年。民俗学者の准教授橘川は、教え子で助教の樋口と共に南洋の小島、ベルナパタ島へと赴く。樋口の専門分野であるオセアニア文化史のフィールドワークのはずだったが、そ…

　遥か未来。銀河系のとある居住可能惑星で繁栄を続ける人類だったが、そこはかつての母星ほどに、分厚い資源と生命圏を有していたわけではなかった。 　欠乏する希少元素、減少していく生物…

世間にロボもののゲームは多いけど、容量やら工数やらなんやらの制約で、どうしてもミッションクリア型かアリーナ型のバトルものがお出しされちゃう。さぃぶきさんが好きなのは敵対的環境にロ…

ひよこ鑑定士、黒田康作は過労で倒れそのまま命を落としてしまった。性別不明な神にオファーされてお定まりの異世界へ転生するが、ついてきた特典は前世の技能そのまま「雌雄鑑定」。生まれ落…

下級貴族の庶子・スケイルは、父の死を境に生活の支えを失ってしまった。これといった才覚もない彼が飛びついたのは、「ダンジョン管理」という濡れ手に粟の生計手段――だが、その「ダンジョ…

高速道路のトンネルで起きた玉突き事故と火災の中で、一人の少年が家族を失い、自らも死に瀕していた時――絶望と恐怖の中で彼がすがったのは、TVアニメで見た巨大ロボットのイメージだった…

　それは、ごくありふれた交通事故だった。 　記憶喪失に陥るほどの負傷から、ようやく立ち直った僕は数ヶ月ぶりに『帰宅』した。殆ど何も覚えていないその借家へ、滞納しているであろう家…

女子大学生・高橋真琴は、小旅行から帰ったアパートの玄関先で、置き配された段ボール箱一杯のリンゴに遭遇する。実はそれはたまたま同じ高橋姓を持つ隣室の住人宛てのモノだったのだが…… …

普通の高校一年生・高井戸和真（たかいど・かずま）は、とある事故に巻き込まれ、 付き合い始めたばかりの歳上彼女・解柔院薫子（げにゅういん・かおるこ）を守って死亡した。 薫子は持てる…

　少し未来。外惑星にまで活動領域を広げた人類は、未知の敵性体との交戦に突入してしまっていた。 　中米軍管区参謀本部付き士官、リョウ・クルベ中尉はふとした事から火星駐留の軌道砲兵中…

１９９４年の初夏。大学院生の橘川と立花は学術調査の名目で伊豆諸島の小島を訪れた。 日子島――領有されて八十年になるこの離島には、今も人が寄り付かない。 固有の生物相を持つこの島は…

売れない小説家の僕はある日、公民館からの帰りに、愛用の傘の代わりに奇妙な女物の傘を手にする羽目になった。その傘には――

　ファミレスのバイトで食いつなぐ、しがない低賃金労働者・舞田周防（まいだ・すおう）の唯一の娯楽。それは夜ごと見る夢の中での目くるめくような冒険だった。 　目を閉じて眠りに落ちれば…