可聴領域マシナギオン

高速道路のトンネルで起きた玉突き事故と火災の中で、一人の少年が家族を失い、自らも死に瀕していた時――絶望と恐怖の中で彼がすがったのは、TVアニメで見た巨大ロボットのイメージだった。どうしようもない憧れと渇望、そして裏腹の自嘲の中で、一つの奇跡が生まれた。


事故から七年。
玉鐘学院高校の一年生女子、漣ミナミ（さざなみ・みなみ）は母親譲りの容貌と不遇な家庭環境のために、陰湿なイジメを受けていた。そんなある日、彼女は学院に中途編入してきた男子生徒・眉庇トウゴ（まびさし・とうご）によって庇われ、同時に彼の信じがたい異能力の一端を目にする。
マシナギオン――口から発した擬音によって、その場に不可視なる鉄の神兵を現出せしめる力。それは、二人にいかなる運命をもたらすのか。