『シブい中年のおっさんが泥臭い量産型ロボを駆って戦う話』
もはやネットミームと化した感さえあるこの表現を、ロボット好きなら一度はどこかで耳にしたことがあるのではないでしょうか。
ロボ好きが心の何処かで求めてやまない、しかし現実にはどこにも存在しない砂上の蜃気楼、あるいは真夏の逃げ水のような作品……。
この『退廃の未来に飛ばされたおっさんは、量産型廉価ロボを駆ってしぶとく生きる』(以下『退廃おっさん』)は、そんなロボ好きの脳内にしか存在しなかった幻影をこれでもかと具現化している作品です。
傭兵ロボものということでゲームを彷彿させる要素も散りばめられていますが、その手のゲームをプレイしたことがない方でも、巧みな筆致で描き出される迫真のメカニカル&ミリタリー描写と、主人公サルワタリとヒロイン・レダを始めとする個性豊かな人物描写にきっと引き込まれることでしょう。
あなたもぜひこの世界に足を踏み入れてみてください。きっと現実ではいくら追い求めても見つけられなかったあのシーン、ずっと巡り逢いたかったあのシチュエーションに出会えるはずです。