キャッチコピーの「作者のカセット内で」部分に引き寄せられて読みに来ました。
かつて、ドット絵とワイヤーフレームの向こうに幻視した迷宮世界が、圧倒的な解像度で展開されていました。
迷宮内部の質感。死と腐敗の臭い。階層に応じた様相の変化。
それらは確かに、かつてコントローラー(本作はWIZ外伝オマージュとのことなので「ゲームボーイ」の方が適切でしょうか)と方眼紙を手に、一歩一歩歩んでいた仄暗い世界でありながら、遥かにくっきりとした像を結んでいます。
それはひとえに、迷宮の諸様相を丹念に細やかに描き出す、筆者様の想像力と具体化力と情景構築力(「筆力」の一言では終わらせたくない)によるものでしょう。
そして迷宮に漂う血と死の臭いは、そのまま非情なヒロインのありようとリンクする。
暗い迷宮と暗い情念は重なり、より深い闇を予感させる。
これを書いている時点で本文はまだ3話ですが、既に、迷宮の闇深い入口に手招きされているのを感じます。
楽しみに追わせていただきます。