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押し潰されそうなほどの熱量と、獣の如き咆哮が、世界を隙間なく埋め尽くしていた。
日の光さえ遮る塵埃の向こうにそびえ立つのは、青銅の盾と磨き抜かれた槍の穂先。スパルタ、マケドニア。歴史の教科書から這い出した古代の戦士たちが、肩を寄せ合い、地平線の彼方までうごめいている。
その数、一千億。
1000億の槍がミハエルをつつく!!!!
もちろん、史実のスパルタの人口は1000億人いるわけではない。
「ちくちくするわ……気が込められてないからかゆいだけだけど」
といい、攻撃してくるスパルタ、マケドニア兵の海を泳ぐミハエル。
人間の頭脳が処理できる限界を超えた人型の質量が、呼吸をするたびに大気を震わせ、熱風となって吹き付ける。さらにその巨大な盾の壁の背後には、異質な鉄の臭いが立ち込めていた。緑黒色の鉄塊――シャーマン戦車やT─34戦車が無限軌道を軋ませ、爆音を響かせる戦闘機が空の青を蹂躙し、近代兵器を手にした8,500万の兵士たちが、引き金を引く指を強張らせて包囲網を構築している。
そのうち1万のライフル銃を持った兵がミハエルの頭部に狙いをつけて、一斉に発射する。
ゴゴゴゴゴンッ!
ライフルが当たった音ではあるのだがちょっと違う。貫けなかったのだ。ミハエルの霊気+頭蓋骨を。だからちょっと間抜けな音になっている。
「いてぇハゲ!」
ミハエルは一人ごちた。
時空が歪み、狂気そのものが軍勢の形をとって迫る、息の詰まるような包囲陣。
第二次世界大戦で連合国軍が主力として使用したライフル銃(アメリカのM1ガーランドなど)の弾丸スペックは以下の通りです。
速度(初速):約 時速 3,060 km(秒速 850 メートル)マッハ2.5という、音速を遥かに超える超音速です。
運動エネルギー:約 3,500 ジュールこれは、地上3階から「100kgの鉄の塊」を頭の上にドロップされた時と同じ衝撃力(エネルギー)を、わずか数センチの弾丸の先端に超圧縮した状態です。
「1万発」が一斉に命中した時の総エネルギー
この弾丸が1万発同時にミハエルの頭部(霊気+頭蓋骨)に衝突した場合、物理的なバッファは以下のように跳ね上がります。
総運動エネルギー:3,500万 ジュールこれだけのエネルギーが一瞬(約1000分の1秒)で一点に集中すると、現実世界では「重さ35トンの超大型トレーラーが、時速160kmでノンブレーキのまま頭部に正面衝突した」のと完全に同じ衝撃になります。
普通の人型戦力なら、頭部どころか上半身が分子レベルで消滅(強制終了)する威力です。
霊気シールドでの一瞬の変換(デリート処理)1万発の弾丸がミハエルの頭部に到達する直前、彼の纏う青い霊気に衝突します。
3,500万ジュールの運動エネルギーの99.9%は、ミハエルの肉体に届く前に「鉄の分子をバラバラにするための熱エネルギー」と「火花」へと強制的に変換され、周囲に逃げていきました。
残り0.1%が「ゴゴゴゴゴンッ!」という間抜けな音に熱に変換しきれなかった、わずか数万ジュールの残響エネルギー(音波と振動)だけが、ミハエルの超高密度な頭蓋骨に到達しました。
本来ならこれでも頭蓋骨が砕けるエネルギーだが、ミハエルの霊気密度が物理法則を超えて硬すぎるため、 弾丸の方が「ペシャン」と潰れる 事態が発生。
これが「ゴン!」という硬いもの同士がぶつかった時の間抜けな音に書き換えられた原因です。
周囲への過負荷(パンチラ突風への接続)ミハエル自身は「いてぇハゲ!」の一言で片付けましたが、ミハエルの頭部で処理(デリート)されて四方八方へと弾け飛んだ「3,500万ジュール分の衝撃波のログ(風圧)」が、そのまま後ろにいたアリウスや天馬蒼依、リンデル=チュ=パニエたちを襲う大気圏を揺るがす烈風(パンチラ過負荷)のエネルギー源となったわけです。
つまり
ライフル1万発を 素で耐えられれば パンチラ見放題!!!!
そんな理由でカカロット目指すってのも酔狂だけどさ。
下の絵はアリカ=シュルツェ=ドレッシャー。女騎士。アスタルロサ王国からヴァーレンス王国に亡命してくる彼女。もうすぐ彼女の話かな?
「……なんじゃこりゃ」
その光景を、腕を組んだまま呆然と見上げていたのは、ギリシャ人の衣服を身にまとった本物のエウメネスだった。地上での書記官としての生涯を終え、今は天津日高日子波限建鵜草葺不合命の書記官として仕える半神。
騒ぎを聞きつけてこの奇妙な訓練場へやってきた彼は、信じられないものを見る目で天を仰いだ。彼の視線の先では、幻覚として生み出された「もう一人の自分」が、軍勢の指揮を執ろうとして、既に崩壊の予兆に怯えている。