長門拓

西洋でバベルの塔が建設されていた頃、東洋では月の塔が建設されていた。 高空の低温と空気の薄さに阻まれて、その建設は中止された。 しかし月人の協力を得て、地球と月を結ぶ塔の建設が再…

拘束された怪獣 vs 飼育係の高飛車お嬢様。 世界を滅ぼす力を持った怪獣が、人類にマスコットのように扱われていたとしたら？ 下等生物に屈するしかない「怪獣ギラデル」の葛藤と逆転劇…

　砂と埃にまみれた社員十余名の小さな測量事務所が、ロボット掃除機たる「私」の職場。 　散らかる床に嘆息し、不遇に耐えながら、私は今日も任務を遂行する。 （2023初稿）

近未来、人類は五感の再現された仮想世界と、太陽系外の惑星という二つの新しい世界を手に入れていた。 男は惑星不動産屋として惑星を売る仕事をしていた。男の前職は仮想世界のデザイナー…

菖蒲は残酷な女学生。 彼女に密かに思いを寄せるあつみは共に花抓みに出かけるが……。

知ってる？ ジャスミンティーのあの香りはスカトールって言ってう○この臭い成分なんだよ！

私は、ばんそうこうを貼る係だ。

四季おりおりの世界からたくさんの猫が集まった猫の国。 そこでは季節の変わり目に、猫が毛皮をあらためていた。

昭和二十年、京都、夏。売れない小説家の男――『私』は風に飛ばされた原稿を追いかけて侵入した洋館の庭で、奇妙に美しい娘と逢う。娘が原稿用紙をなぞると、小説の一節が紙から剥がれ、娘の…

未解決の殺人事件を捜査するために過去の世界に跳ぶ。それが時間捜査官だ。自然法則はタイムパラドックスの可能性を禁じているため、時間跳躍では無数に存在する平行世界の過去に移動する。時…

アマゾン川流域に居住する文明を知らない種族。文明社会がかれらを知ったとき起こった出来事とは。そして「オゴペグ」とは……

『ノスタルジック・シンドローム』。 　それは、まるで白昼夢のように、自分以外の人が消えた世界に取り残される現象。 　そこは「記憶の中にあるような無いような世界」であり、どことも…

自我を持たないはずの人工知能「クリアロイド」のリータが、ある日突然「桜が嫌い」だと言い始める。リータの持ち主である僕は、その理由を探るべく、とある大学教授の元を訪れる。 ちなみ…

異世界と空間を結ぶことにより、宇宙の膨張がこの世界よりも遅い異世界と、この世界の空間密度の差を利用して電力を発生させる技術＝時空位相差発電システム。 10年前の交通事故で亡くなっ…

会社員・坂口 浩市の家族は、妻と娘が遠くにいる「遠距離家族」。 そんな彼と家族、そして彼の上司・三浦部長が紡ぐ三者三様の愛のカタチ。

コトバ使いの行動にはいくつかのタブーがある。 第一のタブー 小説のストーリーに決定的な矛盾を組み込むこと。 第二のタブー 小説の世界観を根こそぎ書き換えること。 第三のタブー 小…

　公園のベンチで五線紙を広げていた僕の頭上から、突然「何か」が降ってきた。 【30分小説】楽譜 （2009初稿・2023改稿）

時間が乱れた世界で私たちは合奏という夢を見る。

ＡＩが一般的になった近未来。 生前の人格からＡＩを再現し、電子の海に流すとお盆の季節になったら家族の元に戻ってくるとされるＡＩ葬がポピュラーなものとして普及されつつあった。 ある…

誰にでも、一度だけ、おとずれる、カレンダーにない日。その日が空美にもやってきた。空美はどんなカレンダーにない日を過ごすのか。また、カレンダーにない日とは、どんな日なのか。青春SF…

　加入者の生活を監視カメラで撮影する事で五万円が貰える。そのサービスに妻が加入し、監視生活がスタートした。 　普段の生活のデータを企業のマーケティングや商品開発に活かすと言う事ら…

西暦が破棄されて六十余年。人類が宇宙に出てからで数えると二百五十年が経った時代。 僕らは「家族」というものを捨てていた。 遺伝情報は生まれた時に保存・登録され、十八歳になった時点…

急な悪天候によって下山出来ず、山小屋で夜を明かすことになった父子。真夜中、寒さに震えて目を覚ました息子――美濃吉は、その小屋にもう一人いることに気が付いた。

三人の少女が、かつて一世を風靡したという禁断の味噌ラーメン「めそきん」を作るお話です。

それは後進か、更新か。

全２話。 少々先の未来、人類は何度目かの滅びかけた後、コロニーで平和に暮らしていた。ゆるくて何もないフランツとスワニルダの生活。 シリーズ：SF集

もうすぐ卒業式。私（美咲（みさき））の彼氏である翔（しょう）君は10日経つと人間関係の記憶が無くなってしまう病気にかかっている。 卒業したら私は難関国立大学へ、翔君はアメリカへ治…

性別による格差が社会問題となって、しばらく。 ほとんどの先進国では、全ての子どもは無性体として生まれるようになっていた。 性を持たない子どもは、十二歳になると性別決定手術を受け…

198☓年。 オカルト月刊雑誌『ムーチョ』の記者、荒木は崎戸武雄という青年に会った。彼の実家には人間サイズの人魚が祀られているというのだ。 武雄からその写真を見せられた荒木は、こ…

落ち込む主人公が更に深く落ちていく話。

カクヨムコン９、始まって参りました。カクヨムコン９ではすでに600作を超えるSF短編が12月に投稿されています。このペースで行けばSF短編のみでは1,000作近い応募があるのでは…

霊が見えるという青年。 とある話をしてくれました。 短編。 最後までお読みください。

それは本当にその人本人なのか？ 個人を特定するものは何なのか？ SFサスペンス短編。

騎士団で隊長をしているリーザは『自分より強い男でないと結婚しない』と公言をしている。でも彼女は伯爵家の当主で29歳。のんびり婿選びをしていられる年齢ではない。 でも本当は同僚の…

僕の彼女は、量子的だ。 量子的と言っても量子のような振舞いを見せるという訳ではなくて、彼女は粒子でありまた波でもあるという意味ではないし、ましてや彼女の存在位置は確率でしか表すこ…

10年前、突如人類を「琥珀病」が襲った。患者は、自らの分泌する粘液に一晩で覆われると、破壊不能な個体の中に閉じ込められる。 いつ目覚めるかわからない患者を待つ遺族たちは、患者のク…

KAC20231のお題を７７７文字縛りで書いた短編集を加筆修正して『大渕堂書店の閉店』にまとめました。 地元で唯一あった書店が昨年閉店してしまって。それがとても寂しくて思いつい…

眠りについた人類は戻ってこない。地球に取り残された少年は、自分は何者なのかという問いを抱えたままたったひとり生きる。人類を眠りにつかせた原因である食物テロのために地上の食糧は限ら…

友人の璋子は花布芙蓉と飲んでいるとふと自分が人魚であることを告白した。

【週間ランキング最高69位ありがとうございます！】 高校生の時、「僕」の友人である「彼」は、何においても常に僕の一歩前を歩んでいた。 成績も、スポーツも、容姿も、そして――文才…

突然、ぼくの時間がなくなっちゃった。それってどういうこと？　もしかしてぼく……死ぬの？

太志は高カロリーな物を食べるのが大好きな平凡な男性だったが、ある日、事故に遭って異世界に転移してしまった。 その世界では脂肪が力と魅力の源なのだが、人々は魔王ガロンによってガリガ…

人生の分岐点で思い悩んだ孝子の選択は？

　すべての人類が人口冬眠につくまで、残りわずか。 　カノンとアンリの二人は、残された日々を惜しむようにして、共に過ごす。 　いよいよ冬眠に入る期限日がやってきたとき、二人の計画が…

ただの料理がつくりたい、魔女たちの意地。みたいなお話。 〔2016.07.01 作／09.20 改(電書版)／2021.01.17 手直し〕 ★ カクヨムweb小説短編賞202…

愛を知りたい少女は一冊の小説を手に取る。その小説「フラクタル・ラブ」は、それを読む少女とリンクしていて……。

犬は老女を背に乗せて、映画館を目指す。 荒廃した世界で、ふたりだけの上映会が始まる。

月が三つにお天道様一つ、霊山には空までのびる棒にそこから垂れ下がる巨大振り子。そういう世界での話。十四歳の少年フラートは私塾の授業で教わった、自分たちの住む地面が球体でしかも回転…

少し昔、自殺者の増加を憂慮した神はある仮説をたて、私たちから生贄をえらび、毎日饗宴を開くことにした。ある夜の生贄は私だった。白い部屋。最期までの時間をもう一人の孤独な少女ラビと過…