レビューでこの物語をどう表現するかを考えた結果、
「無駄のないスタイリッシュな物語」と表現するのが良いかなと思いました。
いや「あそび」が無いわけじゃないんですよ。「無駄」がないだけで。
世界背景の説明があって、状況の変化があって、解決 or 結末、みたいにテンポよく進みます。序破急かな。
世界背景の説明、普通の技量で書くとgdgdになってしまう恐れがあると思うんです。こと、この世界のように緻密に作られた世界であればあるほど。
ところがそうなってない。ずっとこう、好奇心をくすぐられる感覚というのかな、「それでそれで?」という感じで前のめりになって読まされてしまう。気がついたら(上)が終わっている。知的好奇心も満足している。すばらしい。
(中)(下)に関してかっちり書くとネタバレフィルタ案件になるので書きませんけども、最後の1行まで期待は裏切られませんのでご安心ください。
大変読みやすい(かつ読み応えのある)作品となっております。
一万文字以内の作品ですからすぐに読めると思います。
オススメです!
安定ってのは安心ではない。
安心ってのは安全ではない。
ディストピアは悪い意味でユートピアではないけれども、ユートピアは良い意味でディストピアであるわけで。
この物語の主人公が誰で、誰のために、誰の視点で語られるかを考えた時、ゾワッと肌が粟立つような寒気を味わうことができると思う。
短編ならではの無駄な説明も余計な人間ドラマも排除したスピード感のある展開は、詰め将棋というよりも詰められ将棋みたいで、逃げ場なんて最初っからなかったんだって思い知らされる。
安全ってのは安定ではない。
僕は、安定した面白さを求めてるのか。
1行目から最終行まで安定してます、この小説!