「なかま」を含む小説

　幕末の江戸の片隅で、好まざる仕事をしながら暮らす相楽遼之進。彼は今日も酒臭いため息を吐いて、独り言の様に愚痴を云う。 　かつては天才剣士として誇りある武士であったこの男が、生活…

ある日、父が死んだ。 それは平屋の縁側から見る紅葉が、まるで目の前に咲き誇っているかのような幻影を見たすぐのことだった。 撲は、淡々と流れる時間のなかで幾度となく幻影を見る。やが…

実家に帰省したものの、やることがなく退屈な「私」は、なぜか、父がゴミ置き場を熱心に掃除するのを見ている。 父は娘に見られるのが嬉しいのか、掃除のやりかたを熱心に解説し始める。退屈…

包括惑星の管轄者は話し合う。伝聞する『群青圏』とはなんであるのか、それはどのようなものであるのかと。 ※幻想小説風味の掌編です。内容というよりか読後感重視のものとなっておりま…

　香夜には、最愛の兄がいる。 　重度のブラコンである彼女は、ガチで兄を愛していた。 　世界の倫理なんてなんのその──兄と禁断の一線をこえてしまおうと日々画策しているが、義母に…

ガザ地区を舞台に、尋問者になったカウンセラーと戦争に加担することにした「天使」、2人の女性の運命が交錯する この短編小説は、僕が書いているダーク百合短編集『夕喰に昏い百合を添え…

炎天下で、無謀にも徒歩でコンビニへアイスを買いに行く人間の姿を描写しました。

ネガティブで卑屈な御風すずは、引っ越し先の夏休みに、神夏祭の名物であるウイルス【ふとん太鼓】の成敗劇に参加することになる。そこで出会った狐面の少年・此の面や、牽牛織女の娘・桐詠、…

一か月前、マッハを魔改造し光速を超えることに成功した三谷達。 しかし、その改造費が資金を圧迫している現状に三谷朱人は悩んでいた。 大金を掴まねば何もできなくなってしまう。 そん…

中野良典《なかのよしのり》は、可もなく不可もない、どこにでもいる普通の男子高校生。特技もないし、部活もやってないし、夢中になれるものも特にない。 そんな自分と退屈な日常を変えた…

人里離れた山のなかで、小さな料理店の店主をしている睿≪ルイ≫のもとに、ある日人ならざるモノ≪龍≫の親子が訪れる。 龍は極上の料理を提供するようにと伝え、それに応じる睿。 提供され…

ひとは誰でも心のなかに、秘密の基地を持っている。 それが道徳のお題目でも何でもなく、純粋に客観的な事実のコンテクストで記述されるようになったのは、確か私が中学生のころだったと思う。

子供の頃の憧れ『ヒーロー』。それはテレビとか想像のなかだけのもの。現実は違う。結果、普通の大学生。就職活動をしても不採用の連続。そんな時、偶然見つけた映画館。何気なく見ていたその…

かつて大陸を制覇した亡国の兵器である少女は今、とある国の客人として高い塔の上で毎日をぼんやりして過ごしていた。 そんななか、ある日彼女の元へやってきたのはにぎやかな世話係の少女で…

電車で転寝していたら、いつの間にか土の中に埋められていた……。 何を言っているか分からないと以下略。もしやこれは、よくある感じの、あれでは？ ……いや良くあってたまるか！ ドマ…

雨降っている日、松本山田と言う男の高校生は用事から帰る途中で、湿っていて寒そうな女の子を見つけた。最初には、助けずに歩きすぎたんだ。 「他の人のことを詮索して迷惑かけるな」って思…

大好きな友人を亡くしたわたしがみた 夢のなかでの話。 ほぼ会話文です。

誰にも話したくないけれど 誰かには見て欲しい よくあるあたまのなか

世界は『人類消失現象』に見舞われた。人類が次々に消失していくなか、高校生・由衣はいまだ生き残っている。滅亡まで秒読みの世界で、由衣はかつて恋をして、最悪の別れ方をした幼馴染・千秋…

帰国子女として北海道の中学に編入した沙良はその言動から浮いている。ある日、沙良は神来公園の森でケガをした子ギツネを助け、ドラッグストアの薬剤師に手当てをしてもらって森へ返した。翌…