あたまのなか

竹下芥子

もしも魔法が使えたらあの娘にこんなことをする

もしも魔法が使えたらあの娘にどんなことをしよう。


もしも魔法が使えたら、あの娘の元まで飛んでいこう。時間に縛られずに一緒にいられるように。


もしも魔法が使えたら、あの娘に素敵なプレゼントをしよう。出来るだけ長く笑っていてもらえるように。


もしも魔法が使えたら、あの娘の病気を治そう。ぼくがいなくなっても大丈夫なように。


だけど飛んではいけないから、電車で君のところへ行くよ。電車が動いてない夜中には、君が寝るまで連絡を絶やさないから。素敵なプレゼントを買うために頑張ってるんだから、そんなに怒らないでぼくを見てよ。ぼくがいないと生きていけないなんて言うなら、君もぼくのために生きてみてよ。


そんなことより、

もしも魔法が使えたら、ぼくかあの娘を消してしまおう。

だけど魔法は、使えないから。

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