私の赤
私は赤がすき!赤は私の色だから。
小さな頃からずっとそう。
そう言い続けて生きてきた。
私のまわりには赤いものが集まった。
赤は私の色なんだ。それが嬉しかった。
大きくなっても私の色は赤。
私は変わってない。赤は私の色だから。
白い目が集まるようになった。私は赤が好きなのに。
私は赤が好きだった。赤は私の色だった。
私は私の赤を黒く塗りつぶした。それでもわずかな塗りムラから見える赤を、私は愛した。
私は黒が好きだ。黒が私の色だ。
大きくなったらきっとそう。
そう言い聞かせて生きてきた。
塗りムラなく美しく広がる黒。大人の私は誇らしかった。
私の黒の前で、私は立ち止まる。
強い苛立ち、焦燥、激情!
あぁ混ざりきって濁った、美しく思えたその黒の前で、私は私を思い出す。
私は赤だ!鮮烈な赤だ!血が沸き立つような熱量の赤だ!わずかな隙間から燃え広がる炎のような赤!たった一点零れ落ちただけでまわりから浮き出て艶やかに映える私!
それを思いだしたとき、私は私の身を焦がしながら走った。
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