「気がしたので」を含む小説

脱走した愛猫が雨で濡れた瓦で滑り助けを求めている。三十五度の傾斜と五メートルの距離。雨に濡れた瓦がエベレスト最難関ルートのように私の前に立ちはだかる。八キロの愛猫を抱え、深夜一時…

灯がいなくなってから、 部屋の温度が少しずつ変わっていく。 触れなければ分からないことばかりで、 それでも、何かが確かに減っていく気がした。 残された物の冷たさと、 思い出せ…

　しあわせなヤツは死ね。でも誰か死んだって聞くたびに、なんでやさしい人が亡くなって、おれみたいなゴミが代わりに死んであげられなかったたんだろうと思う。 　後悔してることは？ 　…

私、夏野琴美には、性別に対して独特の理解があった。 それは自分が女性であることに対して疑問を持っているわけでも、男性として生きていきたいわけでもなく、単純に個人として受け入れられ…

田舎から上京して就職して五年目。 渡したただ会社のコマとして、仕事に明け暮れていた。 仕事は嫌いではないものの、ほぼワンオペで残業続き。 人とすらマトモに会話できていない日常にや…

母が亡くなってすぐに伯爵家へと来た愛人とその娘。 そこからは家族ごっこの毎日。 私が継ぐはずだった伯爵家。 花畑の住人の義妹が私の婚約者と仲良くなってしまったし、もういいよね？ …

動画制作会社のウチに、新しくタレント部署ができました！ 初めて所属となったのは、前の会社の社長が逃げ出し途方に暮れていた、YouTubeアカウント登録者数80万人を持つ大人気バー…

　峰　善和（みね　よしかず）は、この春から高校生になった。 　彼のクラスには、松林　花梨（まつばやし　かりん）という、ルックスも人気もアイドル級の美少女がいる。 　みんなが彼女…

主人公のキョウは異世界転生してハーレムを作ることを夢見る男子高校生。念願の異世界転生した彼は、さっそくハーレムパーティーを作るために動き出す。 しかし、彼の元に集まる女の子は全員…

断るつもりだったお見合いの場に現れたのは、10年前に離れ離れになった親友だった。 「私に、しとかない？」 昔は男子にしか見えなかったのに、すっかり美少女に変貌した彼女……『ゆ…

　小さい頃に事故で両親を亡くした八幡莉音《やはたりお》は、親戚の家に引き取られた。 「お前には許嫁がいる」 　親戚の家に引き取られてからしばらくしたある日、当然言われた言葉に耳を…

　ダンジョンが出現してから１０年後、ダンジョンに憧れた一人の少年｛戦闘狂｝がダンジョンで無双するお話です。 　基本的に主人公最強で眷族有能マジ最高でノリとテンションと何となくで…

　人生で初めて吐いた嘘は何だっただろう。 　間違えてお母さんのコップを割ってしまった時かな、宿題を忘れた言い訳だったっけ。 　でも慣れって怖いもので、今では顔色一つ変えず、さ…

この作品は「第10回私立古賀裕人文学祭」通称古賀コン参加作品です。 https://note.com/koga_hiroto_13/n/nb85625865ab4?sub_rt=…

【あらすじ】 「女になれ」と主命を受けたので、凄腕忍者は魔法少女（物理）になりました。 　超A級の忍びジンの新たな任務は、女子校でのJK護衛。潜入のために与えられた肉体は――ちっ…

　学校の、隣の席の羽須美さん。ギャルっぽいけど、うるさすぎないお隣さん。高校生活が始まって一ヶ月と少し、良い塩梅に打ち解けてきたかなぁという辺りで、そんな彼女から告白された。まあ…

いつからか、風の音が彼の声に似ている気がしていた。 思い出すでもなく、忘れるでもなく。 彼は、わたしの片手の中に、ただ在りつづける。 名を呼ぶたび、指先がかすかに震えて応える…

深い森の奥に佇む、伝統ある女子高には「スール」と呼ばれる独特の姉妹制度がある。 だけど――私は誰ともそんな契約を結ぶつもりなんてない。 ……そのはずだった。 なのに、ふとした…

まだ桜舞うソメイヨシノ——　「私、好きな人ができたんだ…」——　 父との死別から数年…、傷つき、荒れ、それでも幼馴染の少女　青春操《あおはる　みさお》に支えられ、時に叱られ、明…

　2000字以内で夜明けの空にまいた種というお題についての作品が作りたくて書きました。 　比喩でごまかそうとしましたが、この作品は種まきできていない気がしてきました。 　しか…