ウチに所属した歌い手グループのリーダーが元カノだった件について
石狩なべ
1章
第0話
「西川先輩って、本当に歌お上手ですよね」
あたしは自分の靴を見ながら言った。
「歌手になれそう」
「歌手は流石に無理だよ」
「ネットに、歌ってみたとかあげてみたらどうですか? 今、みんなやってますよ」
「私が出したところで、じゃない?」
「誰だって最初は無名です。でも、西川先輩ならすぐにファンがつきそう」
「ああいうのって、動画とかも自分たちで作ってるんでしょ? 難しそう」
「じゃあ、あたしが編集します!」
「ツゥが?」
「はい! あたし暇なので」
「勉強しないとテストの点数下がるよ」
「大丈夫です! テスト勉強は西川先輩に見てもらいますから!」
「大丈夫なの? それ」
「大丈夫なんです!」
いつもの分かれ道が来て、あたしは先輩の靴を見た。
「それじゃあ、西川先輩、また明日……」
「ねえ、ツゥ」
先輩があたしに言った。
「この後って時間ある?」
「はい?」
「ちょっと家寄ってかない? 今日」
その日の先輩の靴下には、鳩が刺繍されていた。
「親、帰り遅いんだ」
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