「#365日ショートショート」を含む小説

またこの手の客だ。23時台の繁華街で客を拾うと、こう言い放たれることが多い。私がお前の家を知っているはずがないだろう。「すみません、お客さま。ご自宅はどっち方面になりますか」「……

米澤は眉をひそめた。思わず身を乗り出し、ディスプレイに顔を近づける。「なんですって」「我々は、悪の秘密結社、ドゥームズデイである」フリーのデザイナーとして活躍する米澤は、SNSサ…

業務部主任・道永の鋭い注意が飛ぶ。国際ホテルの大会議室では、等身大のマネキンの運搬が行われていた。「よし、降ろせ。足元のケーブルに気をつけながら。せーのっ！」

ヒルナカ！本日も始まりました。どうもよろしくお願いします〜。さて今日はですね、話題沸騰のこの人、特別ゲストをお招きしております。

この国はやっと奴隷制度から脱しつつある。生まれた土地や人種によって差別され、一方的に使役される、悲惨な境遇。この発展途上の島国は、今からどれだけの月日をかけて、かの先進国を追いか…

「ようこそ、未確認飛行物体の会へ」オカルト、UMA、妖怪、超常現象、そしてUFO。いわゆる「そういう系」が好きな僕は、このサークルに入るためにこの大学を選んだ。未確認飛行物体の会…

桜が咲いたかと思えば、散った。ネクタイを結んだと思えば、外した。

「ねえ、たかし」おばあちゃんが呼んでる。「なあに、おばあちゃん」

部下が血相を変えて駆け込んできた。「まさか例の実験かね」「その通りです。少子化対策の有効性をはかる実証実験の結果です。しかし、実際に国民を使って実験するわけにはいきませんので、A…

「ママ、あれはなに？」「あれはね、ナマケモノのコーナーよ。ご覧なさい。地球のアメリカ人とナマケモノを融合させているわ。ずっとソファに寝転んで、ポップコーンとピザを食べてる。このパ…

もちろん息はできない。どこを見渡しても一寸先は闇ばかり。今、地上ではなにが起こっているのだろう。

ええと……。俺は言葉に詰まってしまった。そうだなぁ。「ご、5歳です」「かしこまりました。それでは、こちらの大きいろうそくを、5本、お入れしておきますね」

一日に何本くらいお吸いに？ ひと箱くらいですかね。では、煙草ひと箱500円、これを日に全て吸うと仮定しましょう。つまり、日に500円。週に3,500円。月に15,500円。一年間…

結婚相談所のカウンター。仲人は生唾を飲んだ。「お願いします。俺がどうして振られたのか。どこに問題があったのか。仲人であるあなたには、相手の女性から理由のメールが送られているはずだ…

「自分は、ぼちぼちの生活が好きなんだ」。それが口癖だった。ゆっくりそれなりに、良くも悪くもなく。

マネージャーである野中は、担当アイドルのMEMUに怒鳴った。芸能プロダクションの会議室。SNSサービス・ツイッピピーでの不用意な発言により、MEMUはプチ炎上アイドルとしてネット…

何も手につかず、とぼとぼと商店街を歩く。こうして散歩をしていれば少しでも気晴らしになるだろうか。　#異臭は公害　#NO異臭　#異臭をなんとかしろ　#焼却場はこの街から出ていけ

昼下がりの陽気に若干の眠気を覚えていた警官は、その突然の申し出に飛び跳ねるように反応した。「おばあちゃん、いったいどうしたっていうんだい」