この時代が好き。創作なれど、その空気を感じる。鈴というキャラクターは複雑な事情を抱えてるが暗さを感じないのは、彼女の清冽な心情が作品をほぼ支配しているからだろう。フラッシュバックタイプのポストコグニション描写はお見事。
ノスタルジックな世界観に浸りつつ、義理や人情が強かった時代の光と闇を味わえる作品。登場人物たちが抱える問題はそれぞれ違っているけれど、流れる時間のように紡がれる優しさが日常を形作るのが心地いい。
ぷしゅう、というかわいい音にやられてしまいました。鈴の優しい性格が物語の雰囲気にとてもよくあっていて、読んでいると癒されます。食事のちょっとした描写も、おいしそうでお腹がすいてしまいます。登場人物の過去や、それぞれが抱えているものが少しずつ明らかになってきていますが、南雲堂のあたたかな日常はこれからも続いてくれるといいなと思わせてくれる作品でした。優しい物語をどうもありがとうございました。
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