第16話夢?
目が覚めると部屋にいた。さっきまでのことがまるで夢だったかのように。
覚えているのは・・・・・・確か、誰かに力が欲しいかと言われたところ・・・・・・
シーターは!
その事を思い出したとき俺は咄嗟に飛び起き部屋を出た。
しかし、見える範囲には誰もいない。
慌ててリビングの方に向かうとそこにはいつもと変わらぬ光景が広がっていた。
「レイ君!もう大丈夫なんですか?」
「う、うん」
こちらが夢なのか?あまりにあの状況からかけ離れている。
「無理するなよ?昨日は帰ってきた途端倒れたんだからな」
ガイズドさんから俺が昨日自ら帰ってきたという事実が伝えられた。
?帰ってきた記憶はないんだけどな。
「お腹空いてるんじゃないですか?今から用意します」
シーターは張り切って台所に向かっていく。
「すみません。昨日のことを途中から覚えてないんですけど結局どうなったんですか?」
「あれ?覚えてないの?拐われそうになったシーターを助けたんでしょう?」
いや、もう攻撃が届かない距離まで離れていたんだけどな。どうやって・・・・・・
やっぱりあの力が欲しいかって声に答えたからだろうか。
しかし、記憶がないのが厄介だな。
「ああ、そうでしたね。皆さんも無事で良かったです」
記憶がないことははぐらかして話をすり替えた。
「間違いなくレイ君のお陰だよ。君がいなかったらこの村は魔族によって壊滅させられるか支配されていただろう」
そう言うガイズドさんの拳には力がこもっていた。
恐らく全く歯が立ちそうになかった自分を悔いているのだろう。
「お待たせしました」
しばらくして、一人前にしては多い量をシーターが運んできた。
妙に張り切っているなと思っていたが量も張り切るとは・・・・・・
しばらくして、
「ごちそうさまでした」
食べきれるか不安だった料理は全て食べ終わり、なんならまだ余裕があるほどだった。
そんなにお腹空いてたのかな、俺?
「お皿は片付けますね・・・・・・あれ?」
そう言って椅子から立ち上がろうとしたシーターだったが意識を失うように倒れてしまう。
俺の体が咄嗟に動きギリギリでシーターをキャッチする。
「あれほど無茶するなって言ったのに」
「でも、寝てないとは思えないほど元気だった」
「え?寝てない?」
レイシーさんとイーリアちゃんの会話に思わず入ってしまう。
「そうよ。あなたをずっと看病してたの。あんなことがあって疲れてるだろうに・・・でも私がやるって言って聞かなかったの。なんとかさっきご飯を食べさせられたところだったのよ」
答えてくれたのはイリーさんだった。
それにしても睡眠や食事までせずに看病してくれていたのか。
なんだかより好きになってしまいそうである・・・・・・・・・
言っておくがこれはロリコンではない。
うん。ロリコンではないはず・・・・・・
「じゃあ、お返しをしないといけないですね。シーターは僕が看病します」
「ヒュー、やるじゃん」
「いけ、いけ」
レイシーさんとイーリアちゃんがなんか盛り上がってる。
「大丈夫なの?レイ君も目覚めたばかりでしょ?」
「はい。もう、すっかり平気ですから」
そう言って、シーターをお姫様抱っこし部屋へと連れていった。
これは不可抗力だ。
別にしたくてしたわけではない・・・・・・・・・ないはず。
こうしてシーターをベッドで寝かせ俺は改めて記憶のない部分を思い出そうとしてみた。
力が欲しいかと聞かれた俺はそれに欲しいと答えた。
その後また何か聞いた気がするけど・・・・・・なんだっけ?代償がなんとか言ってた気がするけど。
でも、ここが限界のようでそれ以上のことは思い出せなかった。
◆
数時間経過し、俺が起きたときは高かった太陽の位置も徐々に沈み始めきれいな夕焼けが窓から見えていた。
「シーターと見たかったな」
気づくとそんなことを言っていた。
「呼びました?」
「え?・・・・・・いつから起きてた?」
「ついさっきですよ。何を見たかったんですか?」
いや、タイミング・・・・・・
言い逃れは出来なさそうなので窓の方に指を指す。
シーターはその指につられるように窓のそとを見て、
「わぁ」
オレンジ色に輝く雲に半分隠れた太陽。まるで今日の最後を告げるかの如く神々しく輝くそれは誰が見ても感動するだろう。
「綺麗だから一緒にみたいなって」
その景色を再度見て、恥ずかしさが軽減されてしまったため本音を言ってしまった。
引かれてないかビクビクしていると、
「嬉しいです。そう思ってもらえて」
そう言う彼女の顔も窓からの光もあり神々しく見えた。
最強剣士~コマンドで魔法を使う~ 空里 @riku4
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。最強剣士~コマンドで魔法を使う~の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます