第13話帰宅
翌朝。
目が覚めると丁度シーターも起きたようで目が合った。
「お、おはよう」
寝起き可愛すぎだろ。なんか目が覚めたわ。
「お、おはようございます」
そして、しばらく沈黙が流れる。
お互い寝起きで頭が回っていないのだ。
俺の方は同年代の異性と同じ部屋に泊まってしまったという背徳感にも似た感覚だったのだが。
しばらくしてお互いに準備をし乗ってきた馬車の前に移動した。
そこが待ち合わせ場所になっていたのだ。
さすがに置いて行かれていることはなく皆が待っていた。
シーターがすぐに駆け寄り文句を言っていたのだが、皆温かい目で見ており相手にされてなかった。
俺は所詮居候に近い身なため文句は言えなかった。
ちょっと嬉しかったのもあるが。
◆
朝食は朝からやっていた飲食店で食べた。
朝から外食はちょっと特別感がある。
そして、ガイズドさんにおごって頂いた。
お金が残っていたので自分でと言ったのだが子供に出させるわけにはいかないと言われてしまった。
そんな子供を二人きりにするのはどうなんだと言いたいところだけどシーターが文句を言っていたときの様子をみる限り意味がなさそうなためやめておく。
◆
朝食を済ませた後、馬車に乗って村まで帰る道中魔物に会った。
異世界にはありがちなゴブリンの群れだ。
5匹位だろうか。
買った剣を試すのにも丁度良かったため任せてもらった。
その際、ゴブリンの血は服についたら落ちないから注意するように言われた。
ちゃんとそういう技もあるためそれで処理することにする。
「メイラー流 一 浅傷 二 後傷 三 鮮烈舞」
一と二で一体ずつ、三で残りを倒した。
実はこのメイラー流この三つしか技がなく順序通りでないと技が未完成になる曲者である。
一は字の通り最小限の浅い傷で倒す技。
当然相手の出血も最小限となる。
二も字の通り攻撃を与えた後しばらくして効果が出る技。
すぐに離れると返り血を浴びることはない。
三は逆に切りつけた相手に大量の出血をもたらす技。
しかし、すべて使用者の反対側に出血する正直意味不明な技。
それを敵に囲まれた状態ですると圧巻なため「鮮」という字が使われている。
ちなみに剣は凄く切れ味が良い。
良すぎて調子が狂うくらいには。
この剣がこのまま使えるなら多分手放すことはいだろう。
馬車に戻ると皆から賞賛を受けた。
剣で返り血を浴びずに倒すことは難しい事らしい。
確かに俺もこの技がないとさすがに返り血を浴びずにということは無理だ。
それ以降魔物が出てくることはなく無事に村に帰ってくることが出来た。
◆
さて、帰ってきてからにはやることがある・・・・・・と思っていたのだが、特になかった。
買ってきた物の整理と言っても買ってきた物はというと剣と自分の服と・・・・・・あっ!
シーターに服買ってあげてたけど渡しそびれてた。
やることがあったけど、どうやって渡そうか。
あの場で渡しておけばよかったと後悔するがしたところでしょうがないため作戦を考える。
初めに思い付いた案はシーターのクローゼットに買った服を忍ばせるというもの。
サプライズとしては良いと思う。
しかし、さすがに女の子の部屋に許可なく入るだけでなくクローゼットの中に手を突っ込むという行為までしないといけないことから却下した。
さすがにダメでしょ。
二つ目の案。
着て欲しい服があると渡す。
これは本当の彼氏ならばありかもしれない。
ただ、どうとも思ってない男子にそれをされたら引いてしまう可能性が高いため却下。
三つ目の案。
誕生日を聞いてそれまで待ってから渡す。
これは中々良いと思ったのだが、いつまでも隠し持ってはいられないため却下。
・・・・・・案は出てくるが却下案件しか出てこない。
もう勇気を出して普通に渡すしかないのだろうか。
しかし、渡すにしても二人きりになれる時間があるかな?
いっそ部屋に突撃するか?
うん、他の人に見られるよりはマシだと思う。
◆
数時間後。
ようやく覚悟を決めシーターの部屋の前に来ていた。
緊張で小刻みに震えている手でノックする。
中からどうしましたという声が聞こえたので話があると言い中に入る許可をもらう。
そして、もう一度覚悟を決めてから中に入った。
「レイくんどうしたんですか?あれ?その袋は?」
「えっと、そのプレゼント・・・・・・」
なんかもう少しうまく言えた気がするがしょうがない。
すごく緊張していたから。
「え?いつの間に?中を見ても良いですか?」
「良いよ」
とりあえず喜んでもらえそうな雰囲気で少し安心する。
「え?この服私が欲しいと思ってた・・・・・・サイズもぴったり・・・・・・でもどうしてサイズを知ってるんですか?」
これはミスった。
サイズのことを考えてなかった。
シーターが見ていたものが丁度のサイズだったのは幸運だが要らぬ疑いをかけられてしまいそうである。
「あの・・・シーターが手に取ってたものを買ったから」
どうかこれで疑いがかからないでくれ!
「そういうことですか。ありがとうございます。ちょっと部屋の外で待っててください」
そう言われ問答無用に部屋から出された。
怒らせたわけではないと思うのだが・・・・・・
待っててと言われたし。
少し不安になりつつ部屋の外で待つ。
少しして、部屋の中から逆ノックと共に入ってという声が聞こえた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます