第7話勝負の後
勝負に勝った俺にはシーターやその家族(父親以外)が嬉しそうに駆け寄ってきた。
皆口々にありがとうや凄い的な事を言ってくる。
前世ではこんなに褒められることとか無かったから対応に困る。
その頃。
「良かったよ。シーターちゃんがあの馬鹿息子と結婚することにならんで」
これは村長がガイズドに向けて言った言葉だ。
皮肉でも何でもなく純粋にそう思っているという感じである。
「一応言っておきますが俺は手加減してませんよ」
「分かっておるよ。お主がそういうことを嫌うのはよう知っとる」
「しかし、彼は何者なんでしょうか」
「よく分からん。人を見る目には自信があったが彼は危ないけど危なくない、いや危なくないけど危ないそんな感じだ。すまん。分かりにくいとは思うが」
「いえ、しかし何処が危ないのでしょうか」
「さあ、分からん。だが、彼自身は良い子だと思うぞ」
「そうですか。では娘を任せても……」
「俺が決めることじゃない。お前の中ではもう結論は出ているのだろう?」
「分かってましたか。初めは娘が結婚したくないから適当に連れてきたのかと思いましたが、あの様子は……………」
「分かるぞ。あの両思いなのにどうすれば良いのか分からないようなザ青春はいくら親であっても止められん」
「それにあれに割って入ると家での居場所が無くないそうで……………」
「それは家庭を持つ男には当然の宿命だ」
ガイズドは敬語を使っているがこの2人は相当仲が良く気が合うのはこのやり取りで分かるだろう。
「しかし、ロイズ君はどうしますか?」
ロイズ君とは村長の息子のこと。
村では村長の息子という立場を使って好き勝手している。
その例としてはそれこそシーターと結婚するという噂を流して後に引けなくしたことで今回のこういう事態になっている。
いくら強いガイズドや影響力のある村長もその噂をかき消す事が出来なかった。
「大丈夫だ。お前が自分より強い奴に娘を任せるというのは有名な話だ。悔しいなら勝ってから言えと言っておく」
「お願いします」
「なに、息子のまいた種だ。お前がお願いすることじゃない。それと今回のことはすぐに話題になるだろうからこれで一安心だ。シーターちゃんの人生がめちゃくちゃにならんで良かったよ」
「それは流石に言い過ぎでは……………」
「言い過ぎではないぞ。あのままでは村長は別の者に頼むことになるだろうしな」
2人は横目にレイが取り囲まれているのを見ながら柔らかい笑みをこぼした。
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