第9話バレバレ

「で、成り行きって?」

「えっと、僕は記憶喪失で僕が誰なのか、どんなことをしていたのか覚えて無いんです。それで何故か森にいたので近くの街を探そうとさまよっていたら偶然シーターさんに会ってここに来ました」

襲われたことは口止めされていたので言わなかった。

「なるほど、一目惚れか?」

何で分かんの、この人。

「図星みたいだな」

「え?」

「顔、真っ赤になってるぞ」

あれ?結構ポーカーフェイスには自信があったんだけどな。

まあ恋愛経験0だから仕方ないのかもしれない。

「10歳にしては妙にしっかりしてると思っていたがやっと年相応の反応が見られたな」

中身が10歳じゃないのでしっかりしてて当然なんです。

逆に10歳相応の反応がおかしいんです。

「そ、そうですか?」

「ああ、普段の振る舞いからそうだがあの剣の実力、全て10歳では考えられないものだった」

あ、確かに10歳が大人に剣で勝つなんて稀だよね。

これ疑われるかも……………

「案外どっかの貴族の子供だったのかもしれないな。その子供が何で森にいたのかは分からんが」

何だろう。貴族=悪者ってイメージがあるのは俺だけなのかな?

ガイズドさんの話し方的に貴族に悪印象はなさそうだったけど。

「さ、パーティーに戻るぞ。家ではほとんどしないからな。楽しんどけよ」

「はい。ありがとうございます」


戻ると今度はシーターに呼ばれた。

周りからの生温かい目があり少し気まずかったがその場から少し離れる。


「改めて本当にありがとう」

「いや、全然良いよ」

何ならこのまま結婚とかないかなと思っている自分もいる。

「えっと………これは提案なんだけど、記憶が戻るまではここで過ごしません?」

あ、恋愛感情とかなさそう……………ただの親切心からの言葉だろう。

「でも、記憶が戻らない可能性もあるよ?」

これは記憶喪失の設定を俺がいつまで続けるかのさじ加減で決まる。

「そのときは……………」

徐々に顔が赤くなっていくシーター。

「大丈夫?熱あるんじゃない?」

「だ、大丈夫……………それでどうします?」

なんか強引に話を戻された気がするけどまあ良いか。

「いつまでになるか分からないけどそのときまでよろしく」

「はい!」

一瞬で笑顔になったシーター。

元気そうで良かった。

この様子なら熱も無いだろう。

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