純喫茶ノワール来店手帖

東京のとある一角。
高層ビルが立ち並ぶこの街に緑で囲まれた不思議な喫茶店がある。
店主と看板狐が迎えるこの喫茶店に毎日客がふらふらと訪れる。
狭い路地を抜け、狐に誘われたかのように店を訪れる客には、一人一人にそれぞれの思いがある。
店主の出す飲物はその日によって異なり、客は皆その店主と飲物に思いを募らせる。

すべてを打ち明け、心に「色」を取り戻した客が店を出る頃に店主が一言声をかける。

「またのご来店をお待ちしております」

ここは誰も知らない不思議な喫茶店。
この物語は、そんな店に記録された一冊の来店手帖に隠された、記憶の物語。