第14話・カードゲームではよくあること
《ターン1、スタートタイム。プレイヤー、シアン》
・プレイヤー、シアン(&ミカエラ)
・ライフ10、手札6枚
〈フィールド〉
・なし
ー
・プレイヤー、バルサ(&コリア)
・ライフ10、手札6枚
〈フィールド〉
・なし
相手であるバルサのファンサスタイルは、忍び里をモチーフにしているのか忍者スタイル。
その姿はコスプレに近く、突っ込みどころが多い。
「なんで忍者スタイルなんだ?」
「ふふっ、よくぞ聞いてくれた! 僕は昔から忍者が「話が長くなるからストップ!」ちょっ!?」
意気揚々と喋っていたバルサだったが相方に止められ、そのまま撃沈。
なんか可哀想な事をした気が、まあいいか。
「マスターもアビス・グレイズに集中してくれ」
「なんでさっきから俺の事をマスター呼びなんだ?」
「そっちの方が雰囲気にあっているから」
「お、おおう……」
突っ込みずらい返答だな。
今の俺の姿は青髪に白い軍服のファンサスタイル。
ただ変身した姿……あ、ミカエラさんもジャージ姿ではなく白銀の鎧姿に変わっているな。
「よくわからないがグレイズに戻って。スタートタイム、メインタイム」
「初手はどうくる?」
「まずは緑服の踊り子をサモンしてソウルを発動。デッキから風切りゴブリンを手札に加える」
「なるほど、ギルド・ウィンドのカードね。こりゃ少し手こずりそうだね」
「その割には余裕そうだな」
緑服の踊り子
攻撃2、防御2、火力2
初動カードである緑服の踊り子。
コイツのソウルでデッキから風切りゴブリンを手札に加えてそのままサモン。
いつも通り手札を1枚捨てて2枚ドロー。
風切りゴブリン。
攻撃2、防御1、火力1
「さらに
「ギルド・ウィンド特有の手札温存。しかも初手のターンとしては満点に近いね」
「そりゃどうも。俺はグリモカード、グリーン・サンクチュアリをコールしてデッキから2枚ドロー」
鍵猫
攻撃1、防御2、火力1
初手の手札自体はいい方。
自分の運に感謝しながら、手札にあるマインカードを1枚セット。
そのまま相手の方に視線を戻す。
「これで俺はエンドタイム」
「ギルド・ウィンドのユニットが3体とマインカード。悪くない立ち回りだけど」
「自分達の敵ではないですね」
なんだあの自信。
確かにコチラはまだ様子見程度で舐められるかもしれないが、それはそれとして違う余裕があるよう。
この違和感を感じていると、何か思い当たる節があるのかミカエラさんが苦しそうな顔を浮かべる。
「おそらくアビスカードが既に手札の中にあるんだろうな」
「アビスカードって特殊なカードだっけ?」
「ああ……。従来のカードとは格が違うレベルで強力なカードなのと、使用すればアビス・フィールドの危険度が上がる」
「危険度ってドユコト?」
「単純に言えばファンサへのダメージが大幅に増える」
はい!?
それってダメージを受けたりコストでライフを払う時に影響があるんでは?
そりゃズルくね、と思っていると相手2人が呆れたようにため息を吐く。
「なんで冷静に話しているんだろう?」
「あの2人がアホだからだと思います」
「いつにも増して毒舌だねコリア」
「アビス・グレイズを乗り越えたファンサが
酷い言われよう。
ローブをかぶっている少女っぽい声をしているちみっ子に毒を吐かれるとは。
一部の変態には需要がありそうだが、俺はドMじゃないので気持ちよくはならない。
「アイツら私達の事を馬鹿にしてないか?」
「まあ、実際そうだから否定は出来ないけどな」
「……なんで私は味方であるマスターからも攻撃を受けているんだ?」
「俺も自爆特攻しているから大丈夫だ」
「それ共倒れしているわよね!?」
確かにそう!
ただこのままやり取りをしているとグレイズのテンポが悪くなる。
なので、肩を掴みながらガクガク揺らしてくるミカエラさんをスルーしながら言葉を発する。
「次はソチラのターンだけど降参でもするのか?」
「それはコチラのセリフなんですが」
「それだけ無駄な自信があるんだろうが、それを粉々に砕かせてもらうよ」
「ああ」
よし、これでグレイズに戻った。
よくあるある会話タイムが終わり、ミカエラさんも体から手を離してくれた。
「いくよ! ドロータイム、スタートタイム、メインタイム! よし、僕は手札を1枚捨ててウォーター・ガトリングをサモン!」
「昨日のアビス・グレイズと同じギルド・ウォーターのカードか」
「そうだけど暗躍部隊の僕のデッキは一味違うよ!」
ウォーター・ガトリング
攻撃3、防御3、火力2
ギルドウォーターがナントカ邪教の支給デッキっぽい件について。
雰囲気的にコイツらが仕掛けてくるアビス・グレイズ時は、ギルド・ウォーターを相手にする事が多くなりそうだな。
「暗躍部隊はよくわからないが次はどうするんだ?」
「すぐに教えてあげます」
「コリアの言う通り! 僕は追加でアクア・フェアリーをサモン。これでギルド・ウォーターのカードがフィールドに2枚揃ったからコイツが呼べる」
「マスター、何かやばそうなのが来そうなんだが!」
「雰囲気をみていればわかる!」
アクア・フェアリー
攻撃2、防御1、火力1
カードゲームのアニメや漫画で見る大掛かりな召喚演出。
中央のフィールドに大きな穴が開き、そこから大型の噴水のように水が一気に溢れてきた。
「フィールドのアクア・フェアリーを破壊した後、手札を1枚捨てフロスト・ドラゴンをサモン!」
「ッ!? なんだこの寒気は」
「アビスユニットがサモンされた事でアビス・フィールドの危険度が上昇です」
「ま、マスター!」
まるで冬の北海道にいる感じの寒さ。
相手が呼び出した氷のドラゴンはクリスタルのように透き通る体に大きな翼。
見た目的にはファンタジーゲームの終盤に出てきそうなボスキャラで、フィールドを支配するかのように現れた。
〈アビス・ユニット〉
・フロスト・ドラゴン
攻撃3、防御4、火力3
「アビスユニットをサモンした事で危険度が上がるよ」
「ッ! このままだとマスターが!」
「そう思うなら降参してください」
降参すれば痛い目に合わなくてもいい。
ただそれだと……世界一位が負けを認めた事になる。
「悪いが降参する気はない」
「そうですか。なら、痛い目にあって敗北感を味わってください」
「その言葉、そっくり返してやるよ」
「ッ! バルサ、コイツをさっさと叩き潰しますよ!」
「あ、おい!?」
やっぱり心理フェイズは楽しい。
自分が有利と思っている奴ほど煽りが効きやすいし、プレイングが雑になる。
その事は前世でよく見てきたので、俺は内心で余裕を作りながら対策を練っていくのだった。
《2ターン目のメインタイム。プレイヤー、バルサ》
・プレイヤー、シアン
・ライフ10、手札6枚〈1枚は風来サムライ〉
〈フィールド〉
・緑服の踊り子〈ライト状態〉
・風切りゴブリン〈ライト状態〉
・鍵猫〈ライト状態〉
・マインカード、1枚。
ー
・プレイヤー、バルサ
・ライフ10、手札3枚
〈フィールド〉
・ウォーター・ガトリング〈ライト状態〉
・フロスト・ドラゴン〈ライト状態〉
ソウル・ファンタジア〜カードゲーム世界一位がTCG世界に来たなら当然一位ですよね? 影崎統夜 @052891
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。ソウル・ファンタジア〜カードゲーム世界一位がTCG世界に来たなら当然一位ですよね?の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます