第8話・〈カレン視点〉逆転までのルートと必要なカード

《カレン視点》

 ーー

〈ターン2のエンドタイム・プレイヤー、ドランディア〉

・プレイヤーネーム、ドランディア

・ライフ10、手札4

・ギルド、ファイア

〈フィールド〉

・ボンバーガール〈ライト状態〉

 ー

・プレイヤーネーム、ガイゼル04

・ライフ10、手札2

・ギルド、ランド

〈フィールド〉

・イグアナンA〈ライト状態〉

・イグアナンB〈ライト状態〉

・テッコツー〈ライト状態〉

 ーー

《ターン3》


 フィールド的に不利な状態はアタシでもわかる。

 そのせいで向こうが調子に乗っているのは気に食わないが……。

 

「ドロータイム、スタートタイム、そしてメインタイム!」

「今度は何が来るの?」

「それは今からわかるよ。まずはグリモカード、ローカル・ルールをサモン! フィールドにいるイグアナン1体を破壊して手札のウォーロック・ガンドルの召喚条件とコストを無視してサモン!」

「ダイヤ5のUレアユニットですって!?」

「ああ、コイツが僕のエースカードだよ!」


 ウォーロック・ガンドル(ダイヤ5)

 攻撃4、防御5、火力3

 

 相手のフィールドに現れたのはコンビニくらいの大きさに山を背負ったような亀。

 硬そうな外殻に鋭い目をもつユニットで、カードショップでは5万円は軽く超えているカードだったはず。


「まだ終わらないよ! 僕はグリモカード、ランバードをコール。このカードの効果でデッキと墓地のイグアナンをそれぞれクール!」

「またユニットが増えた!」

「あ、トドメにグリモカード、ロックスターをコールしてイグアナンを1体破壊してデッキから2枚ドロー」


 これで相手の手札は2枚。

 手札がなくなればチャンスは作れると思ったのに……。

 余裕そうな相手がニヤッと笑いながら、フィールドに存在しているユニットをチラッと見た。


「マインカードをセットした後にウォーロック・ガンドルのソウルを発動! 僕のフィールに存在するイグアナン2体を破壊して相手にダメージ2を与える!」

「くううぅ!?」


 ドランディア

 ライフ10←8


 これで相手フィールドのユニットは減ったけど。 

 岩の砲弾を受けたアタシは鋭い痛みを感じながら後方に吹き飛ばされる。


「ま、まだ!」

「へぇ、この状況で立ち上がれるんだね」

「当たり前でしょ!」


 このままだとゴリラ顔の時と同じ。

 心が折れそうになるが、トウマの顔を思い出しながら立ちたがる。

 

「まだ諦めるつまりはないわ」

「そうかい! なら絶望を味合わせてやるよ」

「やってみなさいよ!」


 痛む体に鞭を打ちながら啖呵を切る。

 すると相手はさっきまでの余裕が無くなったのか、目の色が変わった。

 コイツ、煽るのは得意だけど煽ら耐性はないのね。


「バトルタイム! ウォーロック・ガンドルでアタック!」

「きたわね……。アタシはボンバーガールでガード!」

「雑魚なんて蹴散らしてしまえ!」

「それはどうかしら?」

「ッ!」


 ウォーロック・ガンドルは確かに強力なユニットだけど。

 グツグツとやばそうなフラスコを片手に突っ込むボンバーガールが目の前でこけた後。

 予想外の展開に目の前で固まっているウォーロック・ガンドルと共に大爆発を起こした。


「なあぁ!? ぼ、僕のエースカードが!!」

「もしかしてボンバーガールの道連れ自爆を知らなかったの?」

「ッ! そんなわけあるか! このタイミングで手札のグリモカード、岩窟採掘をコール! ライフを2使って墓地のウォーロック・ガンドルをクール!!」


 これで向こうの手札はゼロ。

 しかも蘇生札を使わせたおかげで次のアタシのターンが動きやすくなった。

 そう思っていると、顔を真っ赤にしている相手が自分のユニットに指示を出した。


「相手にブロッカーはいない! 僕はウォーロック・ガンドルとテッコツーでアタック!」

「両方ともガードはしない!」

 

 くうぅ!

 まずはテッコツーのフルスイングを受け、痛みを感じながら膝をつく。

 ただ今回はコイツ以外にも……。


「くらええぇ!」

「くううぅ!!」


 テッコツー

 攻撃1、火力1

 ウォーロック・ガンドル

 攻撃4、火力3


 ドランディア

 ライフ8←4

 

 ウォーロック・ガンドルが作り出した大岩の一撃を受けて体の節々がかなり痛いけど……。

 相手のフィールドのユニットは全てダウン状態になった。


「コレで終わりかしら?」

「ボロボロのくせに何を言っているんだ!」

「そんなの逆転するからに決まっているじゃない」

「な、ならやってみろ! 僕はこれでエンドタイム!」


 向こうのアタックはなんとか耐え切った。

 しかも手札は4枚あるし、キーカードは来てないけどチャンスはある。

 そう思いながらアタシはデッキトップに手を開く。


《3ターン目のエンドタイム。プレイヤーガイゼル04》

・プレイヤーネーム、ドランディア

・ライフ4、手札4

・ギルド、ファイア

〈フィールド〉

・なし

 ー

・プレイヤーネーム、ガイゼル04

・ライフ10、手札0

・ギルド、ランド

〈フィールド〉

・テッコツー〈ダウン状態〉

・ウォーロック・ガンドル〈ダウン状態〉

・マインカード、1枚


〈ターン4〉


「ドロータイム、ッ! きたわ!」

「な、何を引いたんだ!!」

「それは今から見たらわかるわ。スタートタイム、そしてメインタイム!」


 このタイミングで引いたのかアイツから貰ったレアカード。

 まだ使った事はないけどソウルを見る感じ、今必要な効果を持っているカード。


「まずは炎の鍛治師をサモンしてソウルを発動! 墓地に存在しているボンバーガールをコールするわ!」

「もしかしてボンバーガールの効果を使うつもりか?」

「そんな甘い事はしないわ!」


 炎の鍛治師

 攻撃3、防御2、火力2

 ボンバーガール

 攻撃2、防御1、火力1

 

 今の状況では相手のライフを削りきれない……でも、負けるつもりはない!

 アタシは一息吐いた後、あいつから貰ったカードを他にする。


「サモン条件は揃っている! アタシのライフ2と手札を1枚を捨て……真紅の騎士・スカーレットをサモン!!」

「ッ!? このタイミングでLランクのユニットをサモンしただと!」


 ドランディア

 ライフ4←2


 真紅の騎士・スカーレット(ダイヤ6)

 攻撃6、防御5、火力4

 

 絶望的な状況か現れた真紅の騎士・スカーレット。

 赤髪ロングで大きな両手剣に煌めく白銀の鎧を装着している女騎士。

 その姿は凛々しく、すごくかっこよく見える。


「はあぁ!」


 スカーレットの気合いの入った叫び声と共に両手剣に炎が灯り。

 相手の場にあるマインカードに向かって炎の斬撃が飛んで行った。


「なっ!? 僕のマインカードが!!」

「真紅の騎士・スカーレットのソウルで貴方の小細工は潰させてもらったわよ」

「ぐっ! だけど僕のライフは削り方ないよ!」

「それはどうかしら? アタシは手札を1枚捨ててグリモワール・炎の舞をコール! このカードの効果で墓地に存在する炎の鍛治師をクールするわ!」

「なっ!」


 これで準備は整った。

 最初は追い込まれていたけどアイツのお陰でコイツにやり返せる。

 アタシはいやらしい笑みを浮かべながら……。

 

「さらに炎の舞でクールした炎の鍛治師は攻撃と火力が1ずつ上がるわ!」

「そ、それじゃあ!」

「ええ! これでアナタをぶっ飛ばせるわ!」


 炎の鍛治師

 攻撃2←3、火力2←3


 炎の鍛治師が手に持ったハンマーを赤く熱し、他のユニット達も攻撃体勢を整えた。


「一気に決める! まずは炎の鍛治師2体とボンバーガールでアタック!」

「僕のブロッカーは……しまった!?」

「どっちもダウン状態よね」


 前のターンにアタックしたせいで向こうのユニットはダウン状態。

 もし1体でも残っていたらライフは削りきれなかったけど、煽り返してよかったわ。


「ブロックできない」

「ならこの攻撃を受けなさい!」

「ぐあぁぁ!?」


 炎の鍛治師A

 攻撃2、火力2

 ー

 炎の鍛治師B

 攻撃3、火力3

 ー

 ボンバーガール

 攻撃2、火力1

 ー

 ガイゼル04、ライフ10←4

 

 フラスコ爆弾で吹き飛んだ後、ハンマーでボコボコに殴られる相手。

 多少はスッキリできたが、まだ気持ちが治らないのでスカーレットに視線を飛ばすと軽めに頷いてくれた。


「そ、そんな……。ランク3の僕が負ける」

「ええ、アナタの負けよ! アタシは真紅の騎士・スカーレットでアタック!!」

「ば、ばかなぁ!?!?」


 真紅の騎士・スカーレット

 攻撃6、火力4

 ー

 ガイゼル04、ライフ4←0

 

 うん、ざまあ!

 真紅の騎士・スカーレットの一撃が決まり、相手は地面に倒れた。

 その姿に思わず喜んでいると、決着を知らせるアナウンスが流れた。


『勝者、ドランディア。スパチャは1500円でランクポイント15がプラスされます』


 ムカつくやつを倒せてよかったわ。

 そう思いながらアタシ達は電子世界から現実世界に戻っていくのだった。


「これでアイツも少しは認めてくれるかしら?」


 元の世界に戻る時に浮かぶのはアイツの笑み。

 もしかしたら一目惚れしたかもしれないけど、今はよくわからないから気にしない方がいいわね。

 アタシはテンションを上げつつ、トウマからどういう言葉が負けられるのか楽しみで仕方ないのだった。

 

 

 

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