第6話・マジでカードパックからのレア排出率がおかしいだろ!
〈次の日・4月3日〉
世界一位を奪還する。
この目標を掲げながらカレンと共にカードショップに来たのはいいが……。
テーブルの上には開けたパックのゴミが積み重なっていた。
「とりあえず
「でもLカードはアタシが使うギルド・ファイアよね」
「まあな」
1カートンでUレアが3枚とLカードが1枚。
Uレアはギルド・ウィンド、ウォーター、ランドのカード3枚で、Lレアはギルド・ファイアのカード。
提供割合的にはバランスはいいけど、個人的にもう少しギルド・ウィンドに偏って欲しかったな。
「てか1カートンを買うお金なんてよく持っているわね」
「そこはツテがあるんだよ」
「へぇ。で、トウマが使えそうなウィンドはともかく他の3枚はどうするの?」
「ウォーターとランドのUレアは売るか放置だけど、ファイアのLレアは……」
この場合はなんていえばいいんだ。
男友達となら軽く言えるが、思春期の女子高生相手に言える言葉が思い浮かばない。
なので色々考えていると、カレンがコチラをジッと見つめてきたので思わず苦笑いを浮かべる。
「もしよかったらコイツを使ってみるか?」
「いいの?」
「俺のデッキには入らないしな」
「ありがとう」
「どういたしまして」
Uレアのカード名は真紅の騎士・スカーレット。
強力なソウルに高めのステータスを持ち、赤髪の女騎士って事で前世の人気カード投票でも上位に入ったカード。
ギャルっぽいカレンにはちょうどいいので、渡せてよかったとホッと息を吐く。
「それでトウマはデッキを強化する為にパックを買い込んだのよね」
「まあな。ただ思っていた以上にしょっぱくてな」
「レアカードも含めると元が軽く返ってきているわよ」
確かに金額的には勝ちだけど。
個人的に狙っていたカードへの引きが微妙なのだが、これ以上はカートン買いは目立つよな……。
追加でカードを書いたい気持ちを抑えながら、今あるカードでデッキを組み替えていくのだった。
ーー
デッキ構築やお昼ご飯を挟んだ後。
13時からショップ大会があるらしく、大勢のファンサプレイヤーが店内に集まっていた。
「先に整理券をとっておいてよかったわね」
「あ、ああ……」
ショップ大会と言えば若い男性が多いイメージ。
ただこの世界のショップ大会は老若男女関係なくおり、おじいちゃんやおばあちゃんファンサも普通に現れていた。
その光景が珍しくて固まっていると、ショップの店員さんがメガフォン片手に声を出し始めた。
「これよりカードショップ、アルファ・
人数が多いので抽選の結果。
カレンは当選したが俺は落選したので、悔しい気持ちになりながら天井を見上げる。
「このタイミングで外れるのかよ……」
運はいい方なのに外れる。
少し悲しい気持ちになっていると、当選したカレンが嬉しそうに俺の肩を叩いてきた。
「トウマはアタシの華麗な
「お、おう」
コイツ、見た目が美少女なぶんニッコリと笑った時の破壊力がやばいな。
少し恥ずかしくなって目を逸らしたが、カレンが不服そうに俺の頬を軽く引っ張って視線を合わせてくる。
「なんで目を逸らすのよ」
「単純に恥ずかしくなっただけだ」
「このカレン様の美貌に腫れたかしら?」
「あ、急に冷めた」
「なんでよ!?」
残念さのお陰で意識が引き寄せられたな。
ある意味でカレンに感謝すると、本人は不服なのか頬を若干膨らませた。
なのでどう言葉を返すか悩み始めたタイミングで、台の上に立つ店員さんがタブレット片手に話し始める。
「AからDブロックの対戦表がモニターに出たので確認をお願いします」
「へぇ、アタシはCブロックなのね」
おおう、見た目通りの獰猛な笑みを浮かべているな……。
カレンのやる気の良さに少し驚きながら、俺は一息吐きながら待合室に移動する。
「そういえばカレンの
そもそも昨日出会ったばかりなので当たり前だが。
話的にガンガン攻めるタイプのデッキを使うみたいだけど、ボコボコに来たゴリラ顔に負けるレベルの腕前。
その辺が引っかかるので、Fフォンを起動して
「特設チャンネルまであるのかよ」
大人気動画サイトのファンタジア・ビジョン。
未登録でも過去の動画視聴や
会員登録をすればコメントの投稿やスパチャを飛ばせ、勝者への賞金になる機能もある。
「この設備があればブラック企業で働かなくても済んだのに……」
前世に欲しかったシステム。
今回の大会内容が放送される特設チャンネルのアカウントを見つけたので、むず痒い気持ちになりながら開く。
すると堂々とトーナメント表が書かれた見出しが乗っており、そこそこな数のリスナーが配信待ちに集まっていた。
「さてと、ここからどうなるかだな」
カレンがどこまで勝ち上がるかも気になるが、この世界のショップ大会でリスナーがどこまで集まるか。
店内にある椅子に座りつつ画面を見ていると、スタート時間が来たのでショップ大会が始まるのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます