第3話・ヒャッハー男のエース、フレイム・ミノタウロス

《ターン2のメインタイム、プレイヤー・バルト》

・プレイヤーネーム、シアン

・ライフ10、手札3枚

・ギルド、ウィンド

〈フィールド〉

・風切りゴブリン〈フリー状態〉

・緑人形〈フリー状態〉

・風来サムライA〈フリー状態〉

・風来サムライB〈フリー状態〉

マイン地雷カード1枚

 ーー

・プレイヤーネーム、バルト

・ライフ10、手札3枚

・ギルド、ファイア

〈フィールド〉

・ファイアマンA〈フリー状態〉

・ファイアマンB〈フリー状態〉

・ファイアマンC〈フリー状態〉

・レッドリザード〈フリー状態〉



 

 レッドリザードのソウルで風来サムライが破壊されるはずだったが。

 俺のテーブルの上には一枚のカードが光り輝き、その効果が風来サムライを守った。


「なんでソイツが生き残っているんだ!?」

「ネタバラシをするとグリモカード・風の鎧をコールしてレッドリザードのソウルを無効にしたんだよ!」

「ぐっ! これだからギルド・ウィンドは厄介だぜ!」


 悪態をついているくせに、と言いつつヒャッハー男が嬉しそうなのは気のせいか?

 まあでもソウル・ファンタジアは楽しいゲームなのは同感だし、トッププレイヤーとしての意地もある。


「次はどうしてくる?」

「そんなのエースを出すに決まっているだろうが!」

ね」


 軽く煽ったお陰で向こうもノッてきたな。

 若干悔しそうにしているヒャッハー男は手札から1枚のカードを取り出し、半透明のテーブルに叩きつけた。


「いくぜ! オレはエースモンスターのフレイム・ミノタウロスをサモン!!」

「Sレアのカードか!」

「おうよ! このカードはショップで五千円の価値があるカードだぜ!」


 フレイム・ミノタウロスは前世の世界では千円で売られているスタートデッキに入ってたな。

 前世のカード情報を思い出していると、相手のエースカードが勢いよくフィールドに降り立った。


「コイツで勝負を決めてやるぜ!」

「決まるといいけどな」

「飄々としやがって!」

 

 余裕があるから飄々として見えるのか?

 相手のフィールドに現れたのは立派な牛のツノに筋骨隆々な体。右腕にはバトルアックスを装備しており赤色の肌も相まって迫力があるユニット。

 

「ソチラはサモン権を使い切ったが次はどうするんだ?」

「はっ! そんなのバトルタイムに行くに決まっているだろ!」

「だよな!」


 相手のフィールドにはフレイム・ミノタウロスを含めて5体のユニット。

 コチラはランクダイヤが低いユニットしかおらず、ヒャッハー男からすればカモに見えそうだな。


「その余裕そうなツラを歪ませてやる! レッドリザードでアタック!」

「その攻撃はブロックしない」

「ならライフをいただくぜ!」


 レッドリザードが炎球を吐き出し、その一撃はプレイヤーゾーンにいる俺に直撃。

 リアルダメージがあるのか、そのまま後方に吹き飛ばされてしまった。


「ぐうぅ!」


 レッドリザード、火力2

 シアン、ライフ10←8

 

 アニメみたいにリアルダメージがあるのかよ!?

 ビリビリと痛む体を起こすと、ヒャッハー男は満足そうに笑みを浮かべていた。


「その余裕そうなツラが歪んでよかったぜ!」

「そうかよ! で、他のユニットでも攻撃してくるのか?」

「あたぼうよ! フレイム・ミノタウロスでアタック!」


 今度はソイツが攻撃してくるのかよ。

 Sレアのフレイム・ミノタウロスは少し厄介な効果を持っているので、ここは……。


「このタイミングでマインカード・烈風をコール!」

「今度はマインカードかよ!?」

「ああ! コイツの効果でフレイム・ミノタウロスの攻撃を無効にして、さらにファイアマン1体をダウンさせる!」

「ちいぃ!」


 攻撃後やカード効果でのダウンはスタートタイムじゃないと行動可能ヒールしない。

 つまりはこのターンで向こうは3体のユニットが行動不能になったから次のターンは攻めやすいな。


「残ったユニットはどうするんだ?」

「流石にブロッカーは残させてもらう!」

「そりゃそうだよな」


 ここでファイアマンで攻撃してきてもコチラにはブロッカーがいるので防ぎ切れる。

 相手も状況を理解出来ないポンコツではないみたいなので、ここはブロッカーを残すみたいだな。


「これ以上はやる事ないからエンドタイムにはいるぜ!」


 ターン2終了。

〈プレイヤー・ネーム、バルト〉

・ライフ10、手札2枚

〈フィールド〉

・ファイアマンA〈ダウン状態〉

・ファイアマンB〈フリー状態〉

・ファイアマンC〈フリー状態〉

・レッドリザード〈ダウン状態〉

・フレイム・ミノタウロス〈ダウン状態〉


 フリー状態自由に動けるのユニットは二体で地雷カードはない。

 なら次の俺のターンで決められそうだな。


「ターンをもらう! ドロータイム、スタートタイム、メインタイム!」


 引いたカードは今の状況に必要なカード。

 ならこのターンで決めてやる。


「ライフを1削りグリモカード・風魔法の書物を発動。デッキから2枚ドローする」


 シアン、ライフ8←7

 手札3←4枚

 

 静電気みたいにバチバチと痺れるが、風魔法の書物の効果で2枚ドローができる。

 カードゲームあるあるだが、手札があるだけチャンスが作れるから大事なんだよな。


「また手札関係かよ!」

「手札は大丈夫なんだよ」

「それは否定しないが!」


 あらー。相手のヒャッハー男は意外と律儀なのか?

 違和感を感じながらやりとりをしつつ、必要なカードが揃ったので一気に流れを引き寄せる。


「これで勝利へのパーツは揃った!」

「はっ、なんかのハッタリか?」

「……やべぇ、恥ずかしい」


 テンションが上がって、思わずアニメキャラの痛かっこいいセリフを言ってしまったな。


「お、おほん、勝負に戻って! 俺は緑服の踊り子をサモンしてソウル発動。デッキから風来サムライを手札に加え、コイツもサモン!」

「ユニットを増やしてきたか!」

「っと、条件は揃っているからグリモカード、グリーン・サンクチュアリをコールしてデッキから2枚ドローする」

「また手札を増やすのかよ!?」


 仕方ないだろ!

 コチラのエースを呼ぶためには手札が必要なんだよ!

 他のカードゲームなら若干ぶっ壊れなカードに見えるが、そこは割り切ってエースを呼ぶ準備を整える。


「さてと、いきますか」

「ッ!? 雰囲気が変わりやがった!」

「サモン条件はギルド・ウィンドのカードがフィールドに3枚以上が存在。そして手札1枚をコストにコイツを呼ばさせてもらう!」

「な、何が起きているんだ!?」


 電脳空間フィールドの天井がいきなり開き、蒼天の空が広がる中。

 天空に現れる大きな渦から現れるエメラルド色の翼竜。


「コイツが俺のエース、天弦竜スカイライン・エクシード!!」

「い、EXレアのカードだと!?」

「そんなに驚く事か?」

「限られた数しか存在してないし、オンリーワンのカードなのになんでお前はおどろいてないんだよ!」


 これでも驚いているぞ。

 ただ、EXレアなんて前世では存在してないから戸惑いが大きかったんだよ!

 まあでも、スタートデッキ1つだけではカード的にキツかったのでデッキに投入したが、実際にサモン演出を見ると派手すぎてクソかっこいいんだけど!


「さあ、フィナーレだ」


 無駄にカッコつけたセリフ。

 実際はクソダサいような気もするが、スルーして現れたエースユニットの姿を自分の目に映すのだった。


「グォウ!!」


 天弦竜スカイライン・エクシードが巻き起こす風圧。

 その強い風を浴びながら我がエースを見つめると、嬉しそうに反応を返してくれた。


「頼むぞ」


 めっちゃかっこいいな!

 この一言でエクシードはさらにやる気になったのか、ゆっくりと地面におりながら広げていた翼を折り畳んだ。

 前世ではアニメや漫画でしか見られなかったエースユニットのサモンに喜びながら、俺は相手を倒す為の戦術を練り始める。


〈ターンの流れ〉

・ドロータイム、デッキから1枚ドロー

・スタートタイム、ユニットのヒールや準備

・メインタイム、ユニットのサモン・グリモワールカード・マインカードのセット

・バトルタイム、ユニットの攻撃

・エンドタイム、カードの効果処理など

《カードの説明》

〈ギルド・ウィンド〉

・名前、天弦竜スカイライン・エクシード

・能力は次回

 ーー

・名前、緑服の踊り子

・ギルド、ウィンド

・レアR

・ダイヤ2

・攻撃2、防御2、火力2

(ソウル)

・同名以外のダイヤ3以下のギルド・ウィンドのユニットカード1枚を手札に加える。

 ーー

〈グリモ・カード〉

・名前、風の鎧

・カウンタータイプ

・ソウル、名称ターン1。相手ユニット1体のソウル効果をエンドタイムまで無効にする。

 ーー

・名前、風魔法の書物

・コスト、ライフ1

・ノーマルタイプ

・ソウル、名称ターン1。デッキから2枚ドローできる。

 ーー

・グリーン・サンクチュアリ

・発動条件、ギルド・ウィンドのユニット3体以上

・ソウル、名称ターン1。デッキから2枚ドローする。

〈マインカード〉

・名前、烈風

・ソウル、相手のアタック宣言時、そのユニットの攻撃を無効にする。その後、フィールドに存在するユニット1体をダウン状態にする。

〈※名称ターン1は同じ名前のカードは1ターンに1としかコール出来ないカード〉

 ーーーー

〈ギルド・ファイア〉

・フレイム・ミノタウロス

・ギルド、ファイア

・レアS

・ダイヤ4

・攻撃4、防御3、火力3

・ソウル、名称ターン1。このカードがバトルで相手ユニットを破壊した場合、ダイヤ2以下のユニット1体を破壊できる。


 

 

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