第11話・なんかよくわかない◯のゲームが……。うん、やりすぎたな
〈2ターン目のメインタイム、プレイヤー・シアン〉
・プレイヤー、シアン
・ライフ8、手札6枚
〈フィールド〉
・風切りゴブリン
ー
・プレイヤー、不気味な女性
・ライフ10、手札1枚
〈フィールド〉
・アクア・フェアリーA〈ライト状態〉
・アクア・フェアリーB〈ライト状態〉
・ドロンマニア〈ダウン状態〉
ーー
ライフはこちらの方が少ないが手札は潤沢。
さっきも思ったがこのターンで決着をつけないと後が怖そうだな。
「このターンさえ耐え切ったら最強のエースが出せる」
「個人的にはその最強のエースは気になるが、悪いが登場はさせない」
「さっきから減らず口を!」
「公式戦じゃないんでな」
公式戦なら煽るのはアウトなので控えているが、今はアビス・グレイズ。
人の魂がかかった対決に心理戦を入れた方が面白いに決まっている。
「さっきからのその余裕……貴様は何者なんだ!」
「そんなの世界一位に決まっているだろ」
「私を馬鹿にするのも大概にしろよ」
「本当なんだけどな」
「ッ!? なんだその自信は!」
頭に前世がつくが世界一位。
まあ、言葉で言っても伝わらないし実力を見せた方が早いか。
ニヤッと笑いながら、残った手札に視線を戻す。
「グレイズに戻って。俺は風人形をサタンしてソウル発動。墓地にいる緑服の踊り子をサモンする」
「ユニットを揃えてきたか!」
緑服の踊り子の効果でデッキから風来サムライを
「これでギルド・ウィンドのユニットがフィールドに3体揃った」
「何が狙い……まさか、エースを呼ぶ気か?」
「
「なっ!?」
確かに最後のサモン権を使って
それでは相手のブロッカーが邪魔で
「自分フィールドに存在する風人形を破壊した後、ライフ2を支払い手札の緑風の剣豪・
「ッ!? そのカードは!」
「反応的にコイツのソウルを知っているんだな」
「ぐっ!」
シアン、ライフ8←6
攻撃4、防御4、火力3
Sレアの緑風の剣豪・斬月。
スターターデッキのエースカードでコストは重めだが、ソウルが強めなのでバランスが取れているユニット。
前世でも
「緑風の剣豪・斬月のソウル発動! 手札のギルド・ウィンドのカードを1枚捨てアクア・フェアリー2体をダウン状態にする」
「ちいいぃ! これで私のブロッカーはゼロか!」
アクア・フェアリーA〈ダウン状態〉
アクア・フェアリーB〈ダウン状態〉
テレビの時代劇とかで見る緑色の着物に武士が装備する鎧の一部を装着しているサラサラヘアーのサムライ、緑風の剣豪・斬月。
コイツのソウル効果で起きた風で、相手フィールドに存在しているアクア・フェアリーは身動きが取れなくなった。
「これでお前を守る壁はいなくなったな」
「だ、だが! 貴様のユニットだけでは私のライフは削りきれないぞ!」
「それはどうかな?」
確かにサモン権はもうないが、別に手札意外からもユニットを呼び出す方法はある。
そう思いながら残った手札4枚からあるカードを取り出す。
「ライフ2と風切りゴブリンをコストにグリモカード・
「このタイミングで蘇生カート……。ただどんなユニットを呼ぼうが変わらない!」
「ほんとフラグを立てるな」
シアン、ライフ6←4
確かに不気味な女性に見せたユニットカードでは相手のライフは削りきれないが。
俺はニヤッと笑いながら墓地に存在するあるカードを蘇生させる。
「空月転生の効果は通常のサモン権をひとつ追加して墓地のユニット1体を呼び出せる」
「それがどうした!」
「……俺は手札を1枚捨てて、墓地に存在する我がエースをサモンする!」
「え、あ、こ、この重苦しい空気感は?」
エースを呼び出す方法は何も手札だけじゃない。
俺はテンションを上げながらキラキラと光るカードを手にしてフィールドゾーンにサモンする。
「さあこい! 我が魂のエース
「クオオォン!!」
「なん、だと!? ランク1の雑魚がEXレアのユニットを呼んだだと!」
「そのセリフは他でも聞いたぞ」
ヒャッハー男やカレンも似た発言をしていた。
理由はわかるけど同じ反応をされても困るんだけど……。
微妙な気持ちになりつつ、クールダウンするために息を整える。
「さてと、マインカードをセット。そのままバトルタイムに入る」
「攻撃が来る!」
「まずは緑服の踊り子でアタック!」
「そのアタックはブロックしない!」
緑服の踊り子か扇子を使い風の弾丸を作り出し、不気味な女性に向かって射出。
「くうぅ!」
緑服の踊り子
攻撃2、火力2
不気味な女性、ライフ10←8
風の弾丸を受けた不気味な女性はうめき声を上げ後ずさる。
その姿に少し心は痛む……わけないな。
「悪いが正当防衛なんでな。さらに緑風の剣豪・斬月でアタック!」
「そ、そのアタックもブロックしない! ぐあぁ!!」
緑風の剣豪・斬月
攻撃4、火力3
不気味な女性、ライフ8←5
これでトドメがさせる。
地面に転がりながら体を震わせる不気味な女性に向かって、俺はいつもと変わらない声で一言。
「これで終わりだ。
「まだだ! 私は手札からグリモカード、クォーター・サーフィンを発動してお前のエースを手札に戻す」
「
「ッ!? まさか!」
ギルド・ウォーターお得意の手札戻し。
その程度は前の世界で何回も喰らってきたので予想できていた事。
昔の出来事を思い出しながら、ウォーター・サーフィンに対し冷静に対処していく。
「手札を1枚捨てセットしていたマインカード、ストーム・カウンターを発動!」
「わ、私が発動したウォーター・サーフィンが無効にされただと!?」
「これで我がエースは手札に戻されない」
ストーム・カウンターはバトルタイム中に相手がグリモカード又はマインカードを発動した場合にコストを払って無効に出来るカード。
元の世界ではいっとき制限カードに指定されており、今でも強力なカードとして名前が挙げられるほど。
「そ、そんな!」
「これでトドメだ!」
「わ、私は……ぐっ、スターライト帝国に栄光あれ!」
攻撃7、火力5
不気味な女性、ライフ5←0
勝者、シアン
スターライト王国?
聞き覚えのない言葉に戸惑うが、
そのまま相手の体が紫色の煙になって消えていくのだった。
ーー
次に目を開けると元の世界に戻ってきていた。
「ここは……」
日が完全に落ちているが元いた住宅街だな。
周りを確認した後にホッとしていると、ふと地面にカードが落ちている事に気づく。
「えっと、星の先兵・ミカエラ? 見覚えのないカードだな」
カードイラストは青髪ボブカットの大学生くらいの女性。
頭には二本のツノが生えており、服装は金属の鎧に長槍を持ったユニット。
「持ち主はいないっぽいから持って帰るか」
デッキケースを取り出して星の先兵・ミカエラのカードを入れた後。
俺は自宅のマンションに戻るために歩き始めるのだった。
〈余談〉
・この時の出来事が後の時間に巻き込まれるとはこの俺は知る由もなかった。
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