第5話 美少女、義兄のバスタイムに割り込む。

 キーンコーンカーンコーン


 学校のチャイムが鳴ると、アタシは大急ぎで教室を出る。

 おにぃと一緒に帰るためだ。


 おにぃは、学校が終わると速攻に帰るから、アタシも猛ダッシュだ。

 アタシは速攻で上履きからローファーに履き替えると、おにぃの下駄箱で待ち伏せをする。


 …………

 ……………………

 …………………………………………


 あれ?? おにぃがなかなか現れない。

 どうしたんだろう? 心配になってくる。


「あら? リコちゃん、偶然ね」


 おにぃは、泥棒ネコの茜子あかねこセンパイと一緒にやってきた。

 アタシは顔をひきつらせながら質問をする。


「あ、茜子あかねこセンパイ、部活は大丈夫なんですかぁ? 野球部のヒロインがいないと、部員が悲しむとおもうんですけどぉ??」

「ん。今日は休み。グラウンドサッカー部が使う日だからさ、弱小クラブは辛いよねー」


 そう言うと、茜子あかねこ先輩は、おにぃの左手に指をからみつけて恋人繋ぎをする。


「さ、帰りましょ。流斗りゅうと

「え? あ、うん……」

「あ、アタシも一緒に帰る!!」


 アタシは、茜子あかねこセンパイに負けじと、おにぃの右腕にからみつく。

 泥棒ネコなんかには絶対に! 絶対に!! おにぃを渡さないんだから!!!


茜子あかねこセンパイはぁ、おにぃとぉ、どこまで進んだんですかぁ?」

「うーん、とりあえずキスはとっくに済ませたよ」

「なん……ですって?」


 付き合ったばかりだろうし、まだまだ進展なんかないだろう。そうタカをくくっての質問をだったのに、とんでもない答えがぶっ込まれてきた。


「それだけじゃないわよ。お風呂も一緒に入浴済みなんだから♪」


 ガーン!! 頭の中で不協和音が響き渡る。

 い、いつの間に!?

 そこまで進んでいたなんて。


茜子あかねこ、それは小学校の時の話だろ? キスなんて幼稚園のころの話じゃないか?」

「あら、でもファーストキスなのは事実でしょ?」


 おにぃと茜子あかねこセンパイは、楽しそうにおしゃべりしてる。けれど、あまりのショックで、アタシの耳にはゼンゼン入ってこなかった。


 ・

 ・

 ・


「ふぅ、食べた、食べた。たまにはウーバーイーツも悪くないな」

「うん……」


 おにぃはアタシの体調を気遣って、晩御飯は宅配にすることになった。

 こーゆーとこ、おにぃはとってもスマート。好き! 好き!! 好き!!!


「よーし、そんじゃ、食事も済んだし風呂にするか」


 (キタ!!)


 おにぃはバスルームに向かうのを確認すると、アタシは、大きく深呼吸をする。

 脈拍が高まってくるのがわかる。

 アタシは、おにぃのあとをつけていくと、脱衣所の前で聞く耳を立てる。


 そうして、おにぃがお風呂に入ったのを確認すると、そぉっと脱衣所の引き戸を開けた。

 アタシは洗濯機からおにぃの脱ぎたてのインナーシャツを拾い上げると、顔をつけて思いっっっっっっっきり息を吸い込む。アタシの日課だ。


 !! この匂いは!! おにぃの匂いの中に、ほんの少しだけメスの匂いが混じっている。泥棒ネコの匂いだ!!


−それだけじゃないわよ。お風呂も一緒に入浴済みよ♪−


 突然、いましい泥棒ネコのは破廉恥な声が脳内再生される。

 負けてられない! アタシもおにぃと一緒にお風呂に入るんだ!!


 アタシは、もこもこピンクの部屋着をぬぐと、つづけざまに白のインナーをぬぎさって、洗面台の前に立つ。

 胸の大きさは負けてるかもしれないけれど、アタシだってスタイルには自信がある。当たってくだけろだ!!


 アタシは勢いのままブラとショーツを脱ぎ去ると、バスルームのドアを開けた。


「おにぃ、背中ながしてあげるね❤︎」


■次回予告

 次回は、流斗りゅうと視点で、たっぷりとラブラブ? のバスタイムをおとどけします……お楽しみ!!


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 最後までお読みいただきありがとうございます。

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