最終話 あたし、幼馴染と義妹が結ばれることを祈る。

「行ってきまーす!」


 あたしは、ダイニングにいるお父さんとお母さんに声をかけると、学校に向かう。

 歩いて50メートルほど、


「オスオス! おはよーさん!! リコちゃん、流斗りゅうと!!!


 いつものように、流斗りゅうとと、流斗りゅうとの腕にからみついたリコちゃんにあいさつする。


「おはよーございます。茜子あかねこおねーさま!!」

「? 茜子あかねこ……おねーさま??」

「そ。あたしと流斗りゅうとは姉弟みたいなもんだからさ。そこんとこ、とおしえてあげたの」

「いろいろ?? ゴメン、リコ!!」


 流斗りゅうとは腕に絡まったリコちゃんを振りほどくと、リコちゃんから距離をとって小声で話し始める。


「……ひそひそ……おい、茜子あかねこ、なんだよって……ひそひそ……」

「……ひそひそ……そりゃあ、っつったら、よ。ちぃっちゃな頃の話からぜーんぶ♪ あんたが恋愛に臆病な理由もね……ひそひそ……」

「……ひそひそ……じゃ、じゃあ、こよりねーちゃんのことも……ひそひそ……」

「……ひそひそ……モチロン。でも安心しな。リコちゃんには、こよりちゃんが引っ越すときに流斗りゅうとが告白したけどフラレたって話にしといたから」

「そっか……」


 流斗りゅうとは、なつかしそうな、さみしそうな、なんとも言えない表情をした。 


「もう!! おにぃと茜子あかねこおねーさま、なにふたりでこそこそ話してるの~??」


 リコちゃんは、ほっぺたをぷっくりさせながら、あたしと流斗りゅうとの間に割り込んで、あたしと流斗りゅうとと手を繋ぐ


「ふふふ、リコちゃんはかわいーねー!」


 あたしは、ふくれっ面をしたリコちゃんの頭をイイコイイコする。


「おいこら、流斗りゅうと。こーんなカワイイ妹ができたのに、小学生の頃の失恋をいつまでも引きずってんじゃないよ!」


 流斗りゅうとは、なんとも言えない表情のままだ。

 ……ま、流斗りゅうとは、もう4年以上、こよりちゃんのことを引きずってるんだ。そ~簡単には、忘れられるわけないか。


 あたしは、こよりちゃんのことを思いだす。

 あたしのイチバン昔の記憶。こよりちゃんに、流斗りゅうとが好きだって打ち明けたときのことだ。


―― まかせて! わたしが茜子あかねこの願いを叶えてあげる! だってわたしは茜子あかねこのおねーさんだもん!! ――


(いやはや、おねーさんってのは難儀な役どころですなぁ)

「ん? 茜子あかねこおねーさま、なにか言った??」

「なんでもないよ! さ、学校行こ行こ!!」


 あたしは、リコちゃんと流斗りゅうとと一緒に高校に向かう。

 小学校のころ、しおりちゃんと手をつないで登校していたことを思い出しながら。

 


【義妹になつかれすぎている俺。彼女が出来たとウソをついたら激しく病んだ。】

 おしまい



■あとがき


 最後までお読みいただき、誠にありがあとうございました。


 『ヤンデレモノ』を書きたいとチャレンジをしてみたのですが、なんというか手柄を急いだリコちゃんが、R-18の壁を踏み抜いてしまいかねないため、カクヨムからのお叱りを受ける前に、名残惜しいですがここで撤退とあいなりました。


 義兄妹モノ、ヤンデレモノはまたチャレンジしたいですので、その時はまた応援していただけますと幸いです。よろしければ。


 少しでも「おもしろかったな」と思われましたら、★★★のご評価をいただけますと幸いです。執筆の励みになります!!







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義妹になつかれすぎている俺。彼女が出来たとウソをついたら激しく病んだ。 かなたろー @kanataro_

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