第11話 美少女、思いがけない行動をとる。
「くやしい……くやしい……でも、めっちゃ美味しい……ううう……くやしいよぅ」
アタシは、
「ごちそうさまでした!」
あたしは、肉じゃがをキレイさっぱり完食すると、食器をかたずけて、自分の部屋ににげるように駆け込んだ。
「お、おい! リコ? リコ!?」
部屋の外から、おにぃの心配そうな声がする。
優しい。好き!!
でも、恥ずかしくて情けなくて、おにぃに合わせる顔がない。
おにぃは、毎日毎日、アタシのオムライスを食べてくれた。
料理なんかしたことなかったから、最初は全然うまくいかなくて、消し炭みたいなオムライスばかり作っていた。
だけど、やさしいおにぃは『最初はみんなこんなんだよ』と、目を白黒させながら、絶対にアタシのオムライスを完食をしてくれたんだ。
優しい。優しい。好き!!
でも、きっとそんなおにぃの優しさに甘えていたんだ。
アタシは夜通しなきながら、眠れない夜をすごした。
・
・
・
コンコン
「リコ~! 起きてるか? 朝飯できてるぞー」
起きているに決まっている。だって昨日の夜から一睡もしてないんだもの。
「ごめん……今日はちょっと学校行けないかも……」
「そっか、弁当はダイニングテーブルに置いてるから、食べれるようならちゃんと食べるんだぞ」
「わかった……」
今日はおにぃと学校に行きたくない。というか
おにぃと仲良くおしゃべりをしている
とにかく、少しでも寝なくちゃ。アタシは無理やり目をつむった。
・
・
・
アタシは、オレンジ色のドレスをまとっていた。なにかのパーティーみたい。
アタシは、ママとお父さんと一緒に、テーブルを囲んでいる。
そして、会場の一番目立つところに、ふたつの空席がある。
悪い予感がする。
「それでは、新郎新婦の入場です!!」
司会の声が会場に響き渡り、新郎と新婦が入場してくる。
おにぃと、
アタシは、無理やり笑顔をつくって、おにぃと
なんで……なんで……いつのまに??
おにぃと
「
戦場カメラマンのお父様は、家を留守にすることが多く、
なによ! 兄妹って!! おにぃの妹はアタシだけなんだから!!
司会の人は、おにぃに質問をする。
「
「肉じゃがです。
「なるほど、なるほど、
会場が和やかな空気に包まれる中、アタシのお腹が、大音量で『ぐうううぅ……』と鳴った。
・
・
・
「はっ!!」
夢か……寝汗で下着までビッショリだ。それにしても最悪な夢だった。
イヤな気分をシャワーで洗い流そう。
アタシは脱衣所にいくと、おにぃのシャツの匂いをおもいっっきり嗅いで心をおつつかせてから服を脱いでシャワーを浴びる。すると、
ぐくるるぅぅぅぅぅ……
アタシのお腹が、小さく音をたてた。
お腹がへっていたから、あんな夢なんかみたんだ……。
アタシはシャワーを浴び終えると、ショーツとパーカーを羽織ってダイニングに行く。テーブルには、おにぃが作ってくれたお弁当が、メモと一緒に置かれていた。
『食欲ないかもしれないけれど、飯はちゃんと食べるんだぞ!!』
アタシはおにぃの気遣いにキュンキュンしながらお弁当箱を開ける。
紅しょうが入りのだし巻きタマゴに、アスパラとベーコンの炒め物。作り置きのにんじんのグラッセに、冷凍食品のナゲットだ。
おにぃは「手間なんてかかっていないよ」なんて言うけれど、お弁当には、毎日違うおかずが入っている。
にんじんのグラッセは、野菜が嫌いなアタシのために、ミリンとハチミツを入れて食べやすくしてくれている。アタシのことを、気遣ってくれている。
アタシは、おにぃの愛情たっぷりのおべんとうを完食すると、制服に着替える。そして、ある覚悟を決めて学校に向かった。
・
・
・
キーンコーンカーンコーン!
ホームルームが終わると、アタシは全力疾走で下駄箱に向かう。
そしてならんで歩いている、おにぃと
「
■次回予告
リコの発言に驚きの
――――――――――――――――――――――――――――
最後までお読みいただきありがとうございます。
少しでも「おもしろそうだな」と思われましたら、フォローや★★★のご評価をいただけますと幸いです。執筆の励みになります!!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます