第17話 美少女、義兄の幼馴染の胸の内を聞く。

茜子あかねこセンパイって、本当におにぃのことが好きなの?」


 アタシは、ベッドの上に腰かける茜子あかねこセンパイをまっすぐと見つめていると、センパイは、アタシの座る布団の上にこしかけた。


「んー。結構難しい質問だねー。好きか嫌いかで言われりゃそりゃ好きだよ。だけど結婚するかって聞かれたら、ないなーって感じ?」

「でも、おにぃと付き合ってるんですよね???????!!」


 アタシはさらに確信をつく質問をして、茜子あかねこセンパイをにらみつける。

 茜子あかねこセンパイは沈黙する。ずっと黙りこくってアタシをずっと見続けている。


 ここで目を逸らしたら茜子あかねこセンパイにおにぃを取られちゃう!!


 なんだろう? 女の直観?? とにかくだ。アタシは無言で見つめてくる茜子あかねこセンパイをずっとにらみ続けた。


「…………………………………………………………」

「……………………………………………………ふふ」


 どれくらい経っただろう。おもむろに茜子あかねこセンパイが笑い出す。なんで?

 茜子あかねこセンパイは、アタシから目を離すと、


「んー。ダメだな。せっかくリコちゃんと仲良くなれそうなのに、これじゃワリが合わないよ……」


 なんだかよく解んないひとりごとをつぶやいて、アタシに向き直った。


「実はね、流斗りゅうとに彼女を演じてくれって言われたの」

「ええええ!? なんで!? もしかしておにぃ、アタシの事がキライなの!?」


 視界が涙でぼやけてくる。おにぃに嫌われたら、あたし生けていけないよ!!


「違う違う! むしろ逆だよ。リコちゃんのアピールが激し過ぎてを犯しそうだから、彼女がいるってことにしてほしいって流斗りゅうとに頼まれたの」

「そうなんだ……」

「でも、リコちゃんのアピールが余計に激しくなったって、流斗りゅうとのヤツ、頭を抱えてたよ」


 アタシは、ここ数日の出来事を思いだす。

 おにぃと一緒にお風呂に入って、おにぃにいちばん大事なところを見つめられて、おにぃとファーストキスをして……茜子あかねこセンパイにおにぃを取られたと勘違いをして、テンパった暴走行動が走馬灯のように思い出される。


「ああああ……」


 恥ずかしい……みるみるうちに顔が熱くなるのがわかる。アタシは気まずくなって、両手で顔をおおう。


「あ、恥ずかしかったんだw」


 茜子あかねこセンパイのイジワルな声に、アタシは声を出して反応する。


「恥ずかしいに決まってるんじゃないですか!」

「そっか、そっか、良かったよ。リコちゃんが正常な羞恥心をもってて」

「だって……茜子あかねこセンパイにおにぃを盗られたって思ったら焦っちゃって……」

「気をつけなよ。流斗りゅうとが奇跡的に我慢できたから良いものの、十代の男子なんて、歩く性欲なんだからさ。一緒にお風呂に入るなんて、危険すぎるって」

「気をつけます……」


 全く持ってそのとおりだ。アタシは海よりも深く反省していると、ふと気がつく。


「あれ?? そういえば、茜子あかねこセンパイ、なんでアタシがおにぃとお風呂に入ったことを知ってるんですか?」


 アタシの質問に、茜子あかねこセンパイが慌てて口をふさぐ。


「しまった!! 流斗りゅうとに内緒だって言われてたんだった!!」

「えええ!! おにぃヒドイ!!」


 いくら悩んでたとはいえ、茜子あかねこセンパイに話しちゃうだなんて……アタシは恥ずかしくて耳まで熱くなった。


■次回予告

 というわけで、リコちゃんと茜子あかねこセンパイは無事なかよしになりました。

 次回は、ちょっとした幕間劇のお送りする予定です。お楽しみに!!


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