春の芽吹きに、繋げるために

 まるで私たちの棲む世界を投影しているかのような美しい四季感と、その失いかけそうな危うさを内包した見事な描写力が秀逸です。
 これからの未来、急激な温暖化により雪を温かく感じる季節はきえてなくなるかもしれない。
 春を春として迎えるためのかけがえのない時を失うかもしれない。
 神竜という神たらしめる象徴が、私たちの世界をただ静かに見守る中で、私たちにできることは何だろうか。
 この世界に生きとし生けるものたちが明日を創り、季節を繋いでいく。その大切な教えを与えてくださった本作に感謝の念が堪えない。

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