生理現象への認識が変わる貴重なエッセイ


女性特有の生理現象。それは男性目線では捉えにくく、理解の及ばない領域なのかもしれない。
しかし、本作ではその障壁を破るべく、読者全体へ噛み砕いた表現で分かりやすく、かつ面白く展開されており、配慮に富んだ構成で全体としての完成度が非常に高いです。

女性が毎月迎えるであろう周期に、翻弄され、思い悩み、自身の置かれている身体がいかに危険な状態に晒されようとしているのか。同性なら強く共感し、異性ならこれを機に考えや認識を改める良い機会としたいです。

特筆したいのが、自身の体の状態を自ら実験的に数値化しようとする試みです。結論に至るまでの洞察力と考察力とが素晴らしく、斬新な側面としての深化を感じることでしょう。

自身の身体を一つの容積と考えた場合、物質の in と out の営みとして簡潔にまとめ上げられ、その思考の高さに思わず目を見張ってしまう。そして、検査結果の数値を自らの身体で実験的に予想して迎え打つ強かさはハイクラスなリケジョを思わせます。

身体全体を、事実として受け入れる「皿」と例えるなら、そこへ考えるための新たな要素「 ‘ 」を取り入れることで、これまでにない発見と意味を成す感覚。性差という事実に新たな認識を付加価値として醸成した、事上磨錬で卓越したエッセイです。

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