犀川ようさん達の「自動筆記」への質問にお答えいたす

 身も蓋もないことを、最初に「事実として」書いておこうと思います。


 僕は、「幻聴(幻声げんせい)・幻覚」を伴う病気を患っていたことがあります。


 よって、以下犀川さんお言葉の引用、


——秋坂さんの話を聞いた時、「それって、(アレやってるからの)幻聴ではないですか?(失礼)」って、思わず心配になってしまいました(笑)。


 というご意見も、あながち100%否定はできないんです。実際に、幻聴の最悪期だった20歳前後は、頭に流れ込んでくる声を全てノートに書き殴っており、それらの中から「この表現おもろ」とか、「このフレーズ使えそう」とか、フツーに『ネタとして』使用した経験もあります。

 また、僕が13年間書きたくて、でも筆力が及ばず書けていない小説のタイトルも、幻聴から取っております。


 症状としての幻聴は実際かなりキツいっす。リアルの音声より幻声がうるさくなって、会話が成立しなくなった時期もありました。もうひとつ加えておくと、僕はそういった陽性症状を抑えるための薬、抗精神病薬や抗不安薬などを服用していた時期もあり、今でも「万が一」のために、お守り的に持ち歩いています。


 最近は「入眠時幻覚」というのが悩みの種ですね。半覚醒時のあのまどろみ、一番心地良いはずの「あ〜寝落ちする〜」って時に色々見えてしまい、ビビって飛び起きたり、酷い時は声をあげてベッドから落ちたり。


 おっと、こういう話題はキリがないのでもう止めますが、誤解されたくないことがあるので、以下にまとめます。


 ●幻聴(幻声)という症状から『聞こえていた』ことは事実

 ●しかし、今の僕がネタとして『聞こえるもの』は、病気ではなく『

 ●拙作「レキシントン大学東京キャンパスの日常」(読んでね♪)に主人公の意見として書いたのですが、僕は麻薬を心から憎悪しており、ニューヨーク時代、いくら誘われても拒絶して、良い友人ができてもそいつがドラッグをやっていたら関係を絶っていました

 ●犀川さんや他の皆さまの誤解は、僕の書き方が悪かったこと、実際『聞こえる』等といえばそういったことを連想するのは当然の流れだということ、即ち、ですので、僕が気分を害したということは一切ございませんし、怒ったりもしておりませんのでお気になさらないでくださいっていうか「レキ大」読んでください(しつこい)



 さて、本題に入りましょう。犀川さんからの質問!

「イメージでネタが浮かぶことはあるか?」は、YESです。

 何気ない瞬間にぼやっと頭に風景などが浮かんだり、顔までははっきり分かりませんが、登場人物が静止画であれ動画であれ『頭の中で見える』こともあり、しかしながら、これらは「その時点で書いている小説のワンシーン」だったり、「舞台となる場所」であることの方がほんの少し割合が多い気がします。


 つまり、着想の時点では、「イメージ」より「なんか誰か喋りよるけん、書いとこ」パターンが多いのかな? と過去の経験を振り返ってみると感じます。

 ひとつ、こればかりは僕も「ぇぇええええぇっぇ?!」となった着想の経験があるので、付記しておきます。


 ある夜、僕は退学した学校の先輩で、その時は(小説担当ではない)出版社で働いていた人と夜10時頃まで話し込んでいました。その先輩は、担当こそ別部門ですが、僕が17歳から書いている作品をほとんど読んでくれている方で、毎回、小説・文学に関わらず、面白い・興味深い話をよく聞かせてくれました。


「それ」が勃発したのは、地元の駅まで乗り換え無しで行ける電車に乗った瞬間のことでした。

 いきなり、主題、設定、出だし、文体(三人称)、主人公の思考、登場人物、大体のストーリーライン、そしてオチ、といった「ネタ」がすべて頭の中であふれてきて、


「え、え、何だこれ?! でも記録はしないと!!」 

 

 と、混み合った電車内で、最寄り駅に着くまで一時間、ひたすら『取りこぼさないように』記録したんです。そして帰宅後、それらアイディアを二時間ほど整えたら、もう本文を書けるプロットができていました。

 そして、その通りに書き始めると、整合性が狂うこともなく、最後まで書き上げることができたんです。


 一番びっくりしたのは、先輩でもその小説を読んだ友人達でもなく、確実に僕です。ここまで来ると『珍現象』というより『怪奇現象』の領域ですよね……。我ながら引くわ……。



 それから二つ目の質問、「イメージできないことを聴覚だけで文字にできるのですか?」ですが、先ほど申し上げました通り、イメージではなく大抵「本文」が聞こえてくるので、それを『書き留める』んですが……。これは質問の答えになっていませんね。

 

 今思ったのですが、僕はおそらく、「無声動画や絵や写真」を文章に書き起こす、もしくは描写することが下手だと思います。

 最初の質問の冒頭で「イメージが浮かぶことがある」とは言ったものの、よくよく考えると、これまた奇っ怪な回答なのですが、


『あ、見えた』


 と気づく瞬間があるんです(頻度は低いですが)。

 この『見えた』は、「ヴィジュアル・イメージが頭に浮かぶ」ということです。

 さらに伏線回収をすると、冒頭で述べた今の症状「入眠時幻覚」、何か不快なものがまぶたの裏で見えるだけではなく、時折「」頭にポップアップすることがあるんです。



 なお、去年必要があり知能指数を計るテストを受けたのですが、20歳でやった時よりかなり数値は下がっており、しかしドクター曰く、


「言語性IQが異様に高い。だから小説が書けるんかぁ〜」


 とかひとりで納得してました。俺は納得できない……!!



 何だか質問にお答えするというより、僕の書き手としての異常性を羅列したような文書になってしまいましたが(苦笑)、犀川さんや他の書き手さんはいかがですか?

 この怪文書に対するリアクションも興味がありますが、次回はどうしましょうかね。


 あ、最後にもう一度。

 幻聴に関するくだりですが、本当に気にしていないので、ただ「こいつドラッグ死ぬほど嫌いなんだな、経験もないんだな」とだけご留意いただければ幸いです。何卒よろしくお願いいたします。


 では、どろん!

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