「人種別幸福論」

 彼氏が出来たって 

 あの子達別れたって 

 彼女婚活中だって

 夏の新作出たって 

 買ったって 

 ショーパン合わなくない?

 チョー笑える



 いや、アンタらの方が数十倍笑えるよ

 流行雑誌の一文に一喜一憂

 似たような衣服を身に纒い 颯爽とトーキョーを歩く彼女たち



 流行りの服を着てないとステータスの欠落らしい

 ムダ毛の処理が出来てないと女として終わってるらしい

 恋愛に命をかけてないと人間として駄目らしい



 マジョリティはマジョリティとして生きていけばいいんでないの

 でもそれを煽るメディアはどうなの

 リア充なんて単語を作って

 更なる充実を求めさせる社会はどうなの



 マイノリティはどうすればいいの

 彼らの幸福は流行雑誌やTVには出ていない

 己の力で勝ち取れって?

 自分なりの幸福を探せって?

 だったらマイノリティを見る時のアンタらの視線

 いい加減どうにかしてくれないかな


   ◆


 以下、解説。


 これは最初の投稿【魔物】と同時期に書いたものですが、僕の友達って結構女性が多くて、特にニューヨークから帰ってきてからは、正直に申し上げますと、「みんな一緒」に見えてたんです。だって女性のファッションは、当時多くて4パターンくらいしかなくて、スキニーのパンツを履いてる男子は(自主規制)にしか見えなくて。


 閑話休題。

 この詩は、そんな彼女たちを見て、どちらかというと「そうじゃない女子」サイドから書きました。大学時代はともかく、それ以降は僕ずっとネットで友人作ってたんですけど、パンクな格好の子もいましたし、そもそも「服なんざ買うくらいならライブ行くわ!」みたいな子たちもおりました。

 英語に「トンボーイ」という単語がありまして、ボーイッシュな、みたいな意味で、その中のひとりが、自分のことを「成り得なかった女子」って言ったんです。

 彼女は化粧も最低限でしたし、パーソナリティもパキッとした、僕としては付き合いやすい人物だったんですけど、この詩の前半にあるような、オシャレに敏感で、メイクもばっちりで、フラットの厚底靴ではなくヒールを履く、という存在には「成り得なかった女子」であると。

「成りたいの?」と聞くと、「いや、別に」と言いつつ、やっぱり場所によっては浮いてしまったり、或いは可能性の話ですが、もしかしたら彼女は「成りたかった」のかもしれません。


 でも、それで引け目を感じる必要は皆無だ、と割り切れるのは、ジェンダーであったりパーソナリティの差異に起因するんでしょうかね?

 僕には分かりませんが、個人的には、「周りがなんと言おうが自分のスタンス、アティチュードを貫く」人々が好きな僕にとって、彼女は良い友人でした。



——いきなり古いのを引っ張り出してしまったので、次回は比較的最近のものを。では、どろん。


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